ニューイヤー駅伝は来年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。旭化成を九州予選で破って初優勝したMHPS長崎(2年前までは三菱重工長崎のチーム名で出場)が、元旦の台風の目となる。

 黒木純監督は九州初優勝に「選手たちも成長を自覚できたと思う。ニューイヤー駅伝では初入賞を目指す」と、慎重な口ぶりながらも自信をにじませた。

 主力となるのは3区(13.6キロ)候補の木滑良(25)、4区(22.0キロ)候補の井上大仁(23)、5区(15.8キロ)候補の松村康平(30)の3人だ。この2人は今冬のマラソンで、来夏のロンドン世界陸上代表入りを狙っている。

 木滑は8月の北海道マラソンの優勝者(2時間13分16秒)で、来年2月の別府大分毎日マラソンでの優勝と初の代表入りを狙っている。井上は今年3月のびわ湖で初マラソンに出場。当初の予定よりも早いフルマラソンへの挑戦だったが2時間12分56秒(9位)で走りきった。次回は国内では前半が最も速い展開になると予想される来年2月の東京に挑戦する。松村は14年の東京マラソンで2時間8分9秒の日本人トップとなり同年のアジア大会に出場。アジア大会では銀メダルを獲得した。リオ五輪代表は逃したが、来年3月のびわ湖で再起を期す。

 3人のなかでは井上が最長区間の4区を担うことになりそうだ。ルーキーイヤーの前回も最長区間を任せられ、区間3位と好走。新人選手では最上位となった。今年の九州予選でも旭化成の村山謙太(23)トヨタ自動車九州の今井正人(32)のビッグネーム2人を抑えて区間賞と実力をつけている。「ニューイヤー駅伝も4区で区間賞争いに絡む走りをしたい。チームが入賞できるよう、良い流れを作りたいと思っています」と元日の走りに照準を合わせている。

 黒木監督は4区終了時に前回と同じように「6位以内につけておきたい」と話す。そのためには1区候補の定方俊樹(24)と、2区のエノック・オムワンバ(21)の走りも重要になる。定方は前回1区で区間8位と好走した。ハイペースも予想される今回の1区でも先頭集団に食らいつくことが求められる。

 山梨学院大出身のオムワンバは1500メートルの自己ベストが3分35秒69という国際レベルの記録を持つ。そんなオムワンバだが昨年までの箱根駅伝には苦い思い出しかない。大学2年時は2区で途中棄権。3年時は故障で出場することができず、4年時はケニア人の後輩選手にメンバーを譲ってしまった。箱根駅伝は20キロ以上の距離を走るが、今回のニューイヤー駅伝2区は8.3キロ。得意とする距離での出場に「正月の駅伝に出るのは3年ぶり。タスキをしっかりと次の走者に渡します。とても楽しみ」と学生時代と同じ人なつっこい笑顔で話した。

 コマはそろった。定方、オムワンバの頑張り次第では、黒木監督の話す4区の6位以内どころか、トップ争いに加わっている可能性も十分にありそうだ。