陸上のダイヤモンドリーグ第4戦のゴールデンガラが8日、ローマのスタディオ・オリンピコで行われる。6種目にリオ五輪金メダリストが出場し、そのうち3人が女子跳躍選手。さらには女子の棒高跳びと3段跳びは金銀銅メダリストがそろう。華やかな空中戦が展開される大会となりそうだ。

 女子棒高跳びには注目のサンディ・モリス(24=米国)が登場する。昨年9月に5メートル00に成功し、室内を含めても過去2人しかいなかった5メートル選手の仲間入りを果たした。

 白人の美人選手でプロポーションも良く、スター性十分の選手。ギターの弾き語りをユーチューブにアップし、自宅で大きな蛇を何匹も飼うなど個性的な選手でもある。

 エレーナ・イシンバエワ(ロシア)の持つ5メートル06の世界記録への挑戦が期待されるが、昨夏のリオ五輪は銀メダル、今季のダイヤモンドリーグ・ドーハ大会も2位と勝負弱い面がある。その2大会でモリスに連勝しているのがエカテリーニ・ステファニディ(27=ギリシャ)で今大会にも出場する。

 ゴールデンガラは2008年に、イシンバエワが当時の世界記録である5メートル03を跳んだ大会。男子でも1980年代に世界記録が3回更新されるなど、棒高跳びの記録が出やすい大会として知られている。

 モリスは苦手のステファニディを意識するよりも記録に集中した方が、勝利への近道かもしれない。

 ゴールデンガラでは男子5000メートルでも1980~90年代に2回、世界新記録が誕生した。今年の期待は女子5000メートルで、1500メートル世界記録保持者のゲンゼベ・ディババ(26=エチオピア)が、前戦の米国ユージーン大会(5月26日)に続き、姉のティルネシュ・ディババ(31=エチオピア)の持つ世界記録・14分11秒15に挑戦する。

 ユージーン大会では途中の3000メートルを8分39秒21と、姉の世界記録時の8分38秒83とほぼ同じタイムで通過したが後半でペースダウン。14分25秒22と自己記録からも10秒ほど後れた。

 今回はリオ五輪銀メダリストのヘレン・オビリ(27=ケニア)が出場する。5月13日のダイヤモンドリーグ上海大会で世界歴代6位の14分22秒47と好調の選手。ディババと2人が競り合えば、後半もペースを維持できる。オビリにとっては、ライバルのエチオピアから世界記録を奪う好機だろう。

 日本からは男子100メートルに桐生祥秀(21=東洋大)が出場する。今季は10秒0台を3試合でマークし、そのうち2回は向かい風の悪条件だった。日本人初の9秒台を出す力は確実についている。5日のプラハ国際は調整レースとして10秒11で走り好感触を得た。

 スタディオ・オリンピコは9レーンある競技場。自己記録が10秒01の桐生と地元イタリア選手以外の7人は、全員が9秒8~9台で五輪&世界陸上の準決勝レベル。ここで3~4位に入れば、8月のロンドン世界陸上の決勝進出が現実味を帯びる。

 日本でもテレビ地上波で生放送されるが、9秒台だけでなく、桐生の着順にも注目すべきだろう。

◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していたが、今年はファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会が実施され、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ・チャンピオンとなる。各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4または6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルのほかダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。