今季苦しんでいた飯塚翔太(28=ミズノ)が意地の快走を見せた。向かい風0・1メートルの条件下、20秒29をマークした。

目指していた20年東京オリンピック(五輪)の参加標準記録(20秒24)には届かなかったが、白石黄良々、山下潤らを抑えて、トップでフィニッシュした。白と赤の新カラーのスパイクを履いてレースに挑んだ飯塚は「(今後の)弾みになった。今日出せる力は100%出せた」と笑顔を見せた。

その3時間前にも200メートルのウオームアップレースを走った。会場の富士北麓公園陸上競技場は標高約1000メートル。空気抵抗が少なく記録は出やすいとされる一方、空気が薄く心拍数も高まったという。そのレースは20秒70(追い風1・5メートル)と不発で、疲労も大きかったが、「前半からいくしかない」と気持ちを割り切れた。腕を大きく振ることも意識し、走りのリズムもコントロール。これも功を奏し、タイムは今季最高だった。

4月のアジア選手権は直前の急性虫垂炎で欠場、6月の日本選手権予選はレース中に肉離れで途中棄権。その苦難が響き、世界選手権(ドーハ)に個人での出場は絶望的だが、今後へ弾みの付く、快走だ。とはいえ今シーズンはまだ不完全燃焼。「試合が少ないので、疲労もなく、気持ちも元気」。今季中の東京五輪の参加標準記録切りにも意欲を示す。次戦は全日本実業団対抗選手権の予定だ。