女子20キロ競歩で日本記録を持つ岡田久美子(27=ビックカメラ)が1時間34分36秒で、日本勢の過去最高に並ぶ6位になった。フィニッシュラインを越えると、1時間34分50秒の7位でゴールした藤井菜々子(20=エディオン)と抱擁。世界大会の2人同時入賞は日本女子競歩初だった。

岡田はレース後、「うれしいです。日本記録を出した時点で『入賞をしないといけないな』という状況に陥った。焦りも落ち着いてやれた部分も、この3カ月あった。入賞できたのでひとまず合格だと思います」。そう少し誇らしげに笑った。

自分の力を客観視し、先頭集団からは離れた。レースは中盤から自分の背中を見ながら、成長をしてきた藤井と2人で歩みを進める形となった。「練習でいつも引っ張り合っている感覚で」。レース展開は意図していなかったが、かつてない高温多湿の消耗戦を支え合って、戦い抜いた。最後は「負けられない」とスパートをかけ、妹分を突き放した。暑さ対策には帽子に氷を給水所で毎回入れ替えた。また「アイススラリー」という氷の結晶を含んだドリンクも4キロごとに口に含んだ。

日本記録を出し、周囲の見られ方も変わった。19年5月に5000メートルでの20分42秒25の日本新記録を7年ぶりに更新。過去にも代表歴は豊富だったが、それで自分の地位をより確立した。筋力や心肺機能を鍛える練習を人並みにこなしても調子を崩すことがあった。それを減らし、技術練習で補う取り組みに反対の声もあったが、それを結果で封じ込めた。7月には20キロのスペインの国際競技会で1時間27分41秒の日本新記録を樹立。自身の練習法を周囲に認めさせた。「自然と練習量も増えて、たくさん食べ、絞れるようになった」。好循環で体も強くなった。日本競歩は、男子の練習法が確立され、メダルを取り続ける一方、女子の強化は発展途上。「第一人者」として独自の道を切り開き、3度目の世界選手権にして初めて入賞した。

20年東京オリンピック(五輪)では、さらなる高みを目指す。立教大出身の社会人6年目は「来年が勝負どころ。また切り替えて頑張りたい。表彰台の目標はぶれていない。もう1、2段階パワーアップをしないと戦えない」。男子に負けず、女子も栄光の時代を築いていく。