ライバル不在となった決勝で高山峻野(ゼンリン)が貫禄を示し、13秒51で優勝。「スタートが1台目からぐたぐたで、後半もタレてしまった」。開口一番、反省の弁を並べたが、口ぶりは滑らかだった。

予選で大会新となる13秒38をたたき出した金井大旺(ミズノ)が、状態や今後の調整など重視して決勝を棄権。それを聞いた高山は、「うれしくて気楽に走れた」とぶっちゃけトーク。「金井君はスタートが速いから、同じレースに走る選手はみんな嫌。前に出られると自分のプランで走れないから。金井君が出ないとアップ場で知ったとき、みんな喜んでいた」。冗談交じりに舞台裏の選手たちの様子を振り返った。

こうしたトークを繰り広げるのも、年下のライバルの実力を認め、敬意を抱いているからこそ。日本選手権(新潟、10月1日開幕)では、この日は実現しなかった直接対決が濃厚で、「まずは金井君についていくことが目標」。世界トップレベルでの活躍を期待する声に対しても、「このままでは難しい。まずは金井選手に頑張ってもらい、そこについていくことで自分も高められれば」。ライバルを持ち上げつつ、自身の飛躍を期していた。

【奥岡幹浩】