全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝)が22日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間(42・195キロ)で行われる。予選会であるプリンセス駅伝(前回上位8チームは予選会免除)を1位通過した積水化学は、19年ドーハ世界陸上代表の新谷仁美(32)と、昨年の日本選手権中距離2冠の卜部蘭(25)が今年1月にチームに加入。佐藤早也伽(26)を加えた強力トリオでクイーンズ駅伝でも上位を狙う。

新谷が8年ぶりにクイーンズ駅伝に帰ってくる。32歳のベテランはトラックでも強さを発揮しているが、駅伝ではさらなる強さを見せつける。その理由を新谷自身は「駅伝は個人種目と違ってチーム戦の安心感があるんです。リラックスして走れるので、力を発揮できます」と説明する。

13年のモスクワ世界陸上1万メートルでは5位に入賞し、日本歴代3位の30分56秒70をマークした。新谷はそのシーズン終了後に足底の痛みを理由に引退したが、18年に現役復帰。昨年のドーハ世界陸上では11位と健闘した。ドーハまでは引退前と同じ練習メニューを行っていた。だが、それでは世界の進歩に追いつけないと判断し、800メートル元日本記録保持者でTWOLAPSTCの横田真人ヘッドコーチ(32)のメニューを行うようになった。今年は1月にハーフマラソンの日本記録を更新。5000メートルでも9月に日本歴代2位と記録を伸ばし始めた。すでに5000メートルと1万メートルの2種目で東京五輪参加標準記録を突破している。

10月のプリンセス駅伝では3区(10.7キロ)の区間記録を1分15秒も縮め、区間2位の五島莉乃(資生堂)に1分38秒もの大差をつける快走。まさに別次元の強さだった。「プリンセスはピークを合わせていませんでした。その中であのタイムは自信になりましたね」と振り返る。クイーンズ駅伝でも最長区間の3区(10.9キロ)で、区間記録更新が期待できそうだ。

積水化学はプリンセス駅伝と同じように1区(7.6キロ)に佐藤、2区(3.3キロ)に卜部の起用が予想される。

佐藤のプリンセス駅伝は、体調が万全でない中で区間1位の走りを見せた。「(体調のことを)周りに気づかれたくなかったし、自分でもそう思いたくなかった」と、先頭を引っ張った。ベビーフェイスからは想像できない気持ちの強さが佐藤の武器だ。

卜部は昨年の日本選手権800メートルと1500メートルを制した中距離ランナー。今年は第1中継所が変更され、2区が従来より0.6キロも短くなったことが卜部には有利に働く。卜部も新谷とともに横田コーチの指導を受ける。同コーチによればプリンセス駅伝の卜部は後半までスピードを維持することを目的に、一定ペースを心がけた。それに対しクイーンズ駅伝2区は序盤が下り気味のコースで、速い入りも想定している。

プリンセス駅伝の積水化学は3区終了時点で2位に1分58秒の大差をつけた。後半に追い上げられたが1分03秒差で逃げ切った。クイーンズ駅伝では前回優勝の日本郵政グループなど、ライバルが強力になる。野口英盛監督は「3区が終わって1分半のリードは持っておきたい。そのためには新谷に20秒くらいの差で渡し、3区の序盤でトップに立ちたいですね」とレースを展望する。

前回1区区間賞の広中璃梨佳(19=日本郵政グループ)に対し、佐藤がどんな走りができるか。卜部のスピードが2区で長距離ランナーたちを上回るか。3区の新谷につなぐ2人の走りが、積水化学の優勝の行方を左右する。