昨夏の東京五輪は補欠で悔し涙の松田瑞生(26=ダイハツ)が、大会新での3度目優勝でも悔し涙を流した。

積極的なレース運びで日本歴代5位の自己ベスト2時間20分52秒で圧勝。7月に米オレゴンで行われる世界選手権代表へ大きく前進した。一方で、東京五輪の代表選考で敗れた一山麻緒(ワコール)の国内最高記録2時間20分29秒(20年名古屋)に届かず、悔しさをあらわにした。

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【大阪国際女子マラソン】松田瑞生、3度目V世界選手権代表候補に/詳細

独走の松田は見えない敵と戦っていた。1人は東京五輪の代表選考で敗れた一山の記録。そして見えない海外の猛者が相手だった。

大会新、自己新、そして日本女子歴代5位の好タイムで大会3度目の優勝を飾った。それでも、レース直後の表彰台で「悔しかったです」と泣いた。「一山選手のタイムが自分の中で最低ラインだった。クリアできなかったのは悔しい」。

2年前、松田は2時間21秒47の好タイムで大阪を制した。しかし、一山がその後の名古屋で上回る記録で優勝し、松田は補欠となり五輪のスタートラインに立つことはなかった。その結果を恨むことはない。「五輪で走っていたら今の私はいない。あの経験があって今がある」と言った。

世界と戦うために追い込んだ。宮崎での合宿をへて月間に踏んだ距離は明かさないが「日本一といえる」。その鬼気迫る走り込みは、周囲から「もう休め」とストップがかかるほどだった。ダイハツの山中監督は「しんが強い。今までの自分を超えたかったはず」と心情をおもんばかった。

世界選手権代表へ大前進した。そして24年パリ五輪へ。「沿道から『パリ、パリ』と言われたが、まず世界選手権で頑張ってその先にパリがあると思う」。なにわのど根性娘が、再び世界との戦いに踏み出した。【実藤健一】

◆今夏の世界選手権代表選考 大阪国際女子、3月6日東京、同13日名古屋ウィメンズが選考大会。派遣設定記録2時間23分18秒をクリアした日本人2位以内=松田、上杉が今大会で代表候補となった。なお24年パリ五輪の代表選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)」の出場権は上位6人が権利を獲得した。