<陸上:大阪国際女子マラソン>◇29日◇ヤンマーフィールド長居発着(42.195キロ)

今夏の女子マラソン世界選手権代表選考を兼ねた大阪国際女子マラソンが行われ、エチオピアのヘヴン・ハイル・デッセが2時間21分31秒で優勝を果たした。安藤友香(28=ワコール)が日本人トップとなる2時間22分58秒で3位に食い込んだ。上杉真穂(27=スターツ)が4位、佐藤早也伽(28=積水化学)は8キロ付近で転倒するアクシデントに見舞われ、無念の途中棄権となった。

また、吉川侑美(32=ユニクロ)、前田彩里(31=ダイハツ)、池田千晴(29=日立)、大東優奈(25=天満屋)の4選手が新たにMGC出場権を獲得した。

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4年ぶりにフルマラソンを走った前田選手の2時間25分24秒は、出産という大きな出来事をへた上でいい着地点だったと思う。

14、15年の日本代表合宿で一緒だったが、とにかく走ることが大好きな選手。練習以外では、福士(加代子)さんらと冗談交じりで過ごしたことを思い出す。今日は力強さを感じたし、まだまだできる可能性を感じる。出産だけでなく、いろんなことを乗り越えての記録。彼女のベスト(2時間22分48秒)はまだ上。そこを超えるような強さを期待したい。

安藤選手は前半、果敢に挑戦していた。自分よりも持ちタイムが速い外国勢と渡り合って、世界と戦う意思が伝わる走りだった。ただ30キロでペースメーカーが外れた時、一瞬でもちゅうちょしてしまうとズルズルといってしまうもの。そこは「差」なのかなと思う。30キロでペースが上がるのは、世界で戦うスタンダードでもある。後半は風の影響もあって落ち込んだ。後半の落ち込みを克服するには距離を踏むなど、どうすればいいかは明らか。前半のハイペースに挑戦したことで今後の課題がわかる。

新谷選手が15日に2時間19分24秒を出したことも大いに刺激になっただろう。他の選手もきっかけにしてほしい。私は高橋(尚子)さん、渋井(陽子)が2時間19分台を出したことが大きかった。渋井さんがチームの練習で、同じメニューでも1人で走っているのを一緒になった中国での高地合宿で見て「それは強いな」と感心した。自分を超えるために、私も練習で、パートナーを外して1人でペースを刻んだ。日本記録(05年、2時間19分12秒)を出せたのは渋井さんのおかげでもある。新谷選手の記録は、現役選手に大きなインパクトがある。女子マラソン全体が、ポジティブな方向に向かってほしい。(04年アテネ五輪金メダリスト)

【大阪国際女子マラソン】エチオピアのデッセが優勝 安藤友香が日本人トップの3位/詳細