2年ぶり6度目の往路優勝を飾った青山学院大(青学大)の原晋監督(56)は目を細めた。

「今日は学生たちがほんとに…。こんなこと想定してなかった。素晴らしい」

15年以降で6度の総合優勝へ導いた名将は、教え子たちの躍動に笑顔が絶えなかった。

指揮官は今季の駅伝シーズンで「先頭に立ってレースをしたい」と繰り返してきた。前回の箱根駅伝4区から首位を継続する駒大に少しでもプレッシャーを与えることをもくろんできた。

昨年10月の出雲、同11月の全日本では実現しなかったが、この日は2区黒田朝日(2年)が7人抜きの力走を見せると「区間賞が見えてるよ!」と鼓舞。言葉通りに区間賞を獲得すると、3区で太田がついに逆転に成功した。

駒大・藤田監督は「3区の太田くんの走りが想定以上だった。あそこでチームとして精神的な部分で動揺した」と吐露。“原マジック”で王者の牙城を崩した。

青学大での監督歴は20年目を迎えるが、その指導スタイルは自主性を尊重するもの。傾聴や協調性を重視する「サーバント型リーダー」の育成を理念とし、厳しく管理はせず、選手に自発を促すことを心がける。

優勝会見では「厳しいトレーニングはしていない。私もグラウンドで叫んでいるわけではない」と明かすと、横に座っていた出走者5人が笑顔でうなずく一幕もあった。

昨年11月に駒大の主力3人が日本長距離界でも屈指の好タイムとなる1万メートル27分台をマークした時には「我々は箱根にピーキングできるように逆算している」と泰然としていた。

過去5度の往路優勝を収め、その全てで総合優勝を達成。「伝統的に復路は強いですから」と自信を見せた一方で、駒大とのハイレベルな頂上決戦を歓迎する。

「スポーツの競技レベルが上がってきている。非常にいい傾向。日本長距離界も捨てたもんじゃない」

目の前の勝負だけでなく、その先も見据えながら、節目の100回大会を戦い抜く。

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