青山学院大(青学大)が2年ぶり6度目の往路優勝を飾った。

往路新記録となる5時間18分13秒をマーク。史上初の2季連続3冠へ向け、1区から首位に立っていた駒大を3区で逆転し、そのまま2分38秒差をつけた。

2区から順に黒田朝日(2年)、太田蒼生(3年)、佐藤一世(4年)の“駅伝男”たちが3区間連続で区間賞を獲得。節目の就任20年目を迎えた原晋監督(56)の「負けてたまるか大作戦」のもと、2年ぶり7度目の総合Vを目指し、今日3日に復路へ臨む。

 ◇   ◇   ◇

駅伝男たちの血が騒いだ。

首位の駒大と22秒差でタスキを受けた3区太田は、佐藤圭汰(2年)との差をぐんぐん詰めた。

12キロ手前で追いつくと、抜きつ抜かれつのデッドヒート。6キロ以上の並走を続け、王者の横顔に目をやった。

「彼もキツイんだ」

負ける気はしなかった。前へ抜け出し、サングラスを外した。

「自分の走りをして、タスキをつなぐだけ」

日本人初の1時間切りとなる59分47秒で、4秒差をつけて4区へ。今季の大学3大駅伝で、駒大以外のチームが初めて先頭でタスキを渡した瞬間だった。

黒田、太田、佐藤の3人は、原監督から「駅伝男」と呼ばれている。指揮官の駅伝の持論は「速さではなく強さ」。気候や相手との距離などを考慮した上で、力を最大限に発揮するランナーが駅伝男だと説く。

3人衆はその力を遺憾なく示した。9位で受けた黒田が7人抜きで2位へ押し上げると、太田で逆転。さらに佐藤は後続との差を1分26秒へ広げてみせた。

佐藤は往路唯一の4年生。今季は駒大に主役の座を奪われてきた。自分たちを「谷間の世代」と言い表したこともあった。ただ、「走りたくても走れない選手がいる。僕らが頑張らないと」と覚悟は固まっていた。

佐藤は駅伝男の条件を「継続した練習」に加え、もう1つあると説く。「気持ちが大きいかな」。自身は12月の第1週にインフルエンザ、第2週に虫垂炎にり患。不安もあったが、出走メンバーに抜てきされた。

そんな中、12月下旬の「箱根0区」と呼ばれる学内競技会で、メンバー入りを逃した同期が懸命に1秒を削り出していた。そこには志貴勇斗主将の姿もあった。

「これで引退する4年生もいる。同期の分まで頑張らなきゃいけないなとすごい背中を押されました」

青学大は昨季から2年連続で主将が16人のチームエントリー入りを逃した。

それでも強さを発揮できるのは、部員の思いを走りで体現する気概があるから。2年生の黒田も「4年生の先輩方を見て、自分たちがこれ以上に頑張らないといけないという思わされた」とうなずく。

復路では2分38秒の貯金を守り、2年ぶりの総合Vへと突っ走る。佐藤は自信の表情を浮かべた。

「走るべき選手がスタートラインに立てている」

仲間を代表して走る男たちが、ゴール地点の大手町へと思いをつないでいく。【藤塚大輔】

【動くグラフ】箱根駅伝・往路の順位変動

【箱根駅伝】往路の個人成績一覧