<全国高校バスケット選抜優勝大会:市沼津68-62金沢西>◇女子1回戦◇23日◇東京体育館

 2年連続出場の市沼津(静岡)が金沢西(石川)を68-62で下し、96年大会以来14年ぶりに白星を挙げた。序盤こそ硬さがあったが、徐々にペースを握り第3クオーター(Q)で突き放すと、最後は逃げ切った。昨年大会と今夏の全国総体で突破できなかった初戦の壁を破った。チーム最多となる24得点をマークの岩崎奈津紀ら3年生が活躍した。今日24日の2回戦で山形商と対戦する。

 市沼津が長く遠ざかっていた白星を手に入れた。前半までのシーソーゲームから一転、第3Qだけで11点差をつけて大きく突き放した。

 ハーフタイム、力を出し切れずベンチに戻ってきた選手たちに大畑昌己監督(48)、勝間田文乃コーチからげきが飛んだ。「いつもの笑顔がない。顔が怖いよ」。序盤から大舞台で硬くなっていた。初得点はフリースローも合わせて6本目でようやく決まった。肩の力を抜いた後半、ようやく本領発揮した。

 1年生センター前島憧子の得点を皮切りに、相沢奏(3年)の3点シュートで一気に攻勢に出た。前半食らいついてきた相手を寄せ付けず、最大16点差をつけて逃げ切った。痛めた両肩をテーピングでがちがちに固定し、3本の3点シュートを含む24点を決めた岩崎は「去年は自分のせいで負けた。まだまだ自分たちのバスケができていないけど、勝ててよかった」。昨年初戦敗退した試合と同じコートで、96年以来14年ぶりの勝利をもぎ取った。

 次戦を見据えたかのように、めまぐるしくメンバーを入れ替え11人がコートに立った。ベンチの選手たちは、感覚を忘れないためにボールを触り続け、いつでもプレーできる準備をしていた。続く2回戦は3年連続4強の山形商。杉田野々子主将(3年)は「1試合1試合決勝戦のつもりで戦う」と言った。大きな1勝を足掛かりに歩みを止めるつもりはない。【栗田成芳】