<全国高校バスケット選抜優勝大会:羽黒102-71誠英>◇男子1回戦◇24日◇東京体育館

 男子の羽黒(山形)が初の全国大会を100点ゲームで飾った!

 誠英(山口)に圧勝。PG佐藤秀太が第3クオーター(Q)で負傷するアクシデントもあったが、F庄司優也(ともに3年)の6本の3点シュートなどで突き放した。

 初出場のプレッシャーを感じさせなかった。スタメンもベンチも応援席も一体となり、声を出し続けた。その雰囲気がコートを支配。F庄司の3点シュートが羽黒の全国大会初得点となり、第1Qで3連続3点シュートを決める。この日チーム最多の41得点を挙げたC富樫良太(3年)を中心にリバウンドも支配。同Qを23-16とリードした。

 だが、全国大会は簡単にはいかなかった。第3Q序盤。司令塔のPG佐藤秀がシュートの際に相手の足を踏み捻挫。ベンチに下がった。その間、リズムを失い、相手の3点シュートに苦しむ。「自分が穴を埋められるようにと思った」と庄司。ボール運びだけでなく2本の3点シュートを決め、踏みとどまった。同Q残り1分26秒で佐藤秀が復帰。「痛みはあったが、そんなこと言ってられない」とテーピングで右足首をガチガチに固め出場した。

 95年に就任した斎藤仁監督(37)にとっても感無量の全国初勝利となった。横浜国大卒業後、羽黒に来たばかりの時は「部として成り立っていなかった」という。「恥ずかしい」との理由から校名入りのジャージーを着ず、言うことも聞かない。1周200メートルの体育館を30周走らせたら一気に部員が減った。その環境を徐々に改革していった。現在では赴任時の1年生がOB会長を務める。それだけ斎藤監督の思いが部員たちに浸透していった。満面の笑みで言った。「今日は遅くならない程度に、おいしいお酒を飲みたい」。16年間の努力が報われた。【三須一紀】