<全国高校バスケット選抜優勝大会:沼津中央91-81明成>◇男子2回戦◇25日◇東京体育館

 生まれ変わった沼津中央(静岡)が、昨年王者で今夏全国総体準優勝の第2シード明成(宮城)を大逆転劇で破った。前半で最大16点差をつけられたが、201センチのセネガル人シェリフ・ソウ(2年)が獅子奮迅の大活躍を見せ、大会歴代4位タイで外国人では最多となる54得点をマークし、大きな勝利をもたらした。シェリフは「昨日はダメだったチームワークで今日は勝てた」と満面の笑みを見せた。

 反撃ののろしは会場もどよめくアリウープだった。第3クオーター(Q)、望月孝祐(1年)の大きく弧を描いたパスをそのままダンクシュートでぶち込んだ。一気に流れを引き寄せ時間を追うごとに勢いは増した。シェリフを中心に得点を重ね、チームの輪ができた。第4Q残り8分30秒で逆転し、そのまま10点差まで突き放しての勝利。杉村敏英監督(61)は「どこの国だろうと全員がベストを出せばチームワークが生まれる。ウソみたいだね」と振り返った。

 前夜、先発5人が監督の部屋に集まった。シェリフが孤立し試合後に同監督は怒りをぶちまけていた。落ち込む選手たちの口数は少なかったがその場でシェリフは気持ちを伝えた。「問題はすべて忘れて、目の前の試合を目標にしよう」。一夜にしてチームは一致団結。自然とシェリフへボールが集まった。信頼がスコアを生み、勝利を呼び込んだ。今日26日は、3回戦市桜宮戦(大阪)。勝てば夏の全国総体ではかなわなかった8強進出だ。「優勝狙うだけです」とシェリフ。今の沼津中央に怖いものは何もない。【栗田成芳】