<全国高校バスケット選抜優勝大会:沼津中央84-75市桜宮>◇男子3回戦◇26日◇東京体育館

 沼津中央(静岡)の快進撃が止まらない。市桜宮(大阪)を84-75で破り、県勢最高に並ぶベスト8に進出した。昨年王者の明成(宮城)を破った2回戦での54得点に続き、この日も201センチのセネガル人シェリフ・ソウ(2年)が50得点をマーク。2試合連続の50点超えは大会史上初めての偉業となった。今日27日の準々決勝では、昨年準優勝の福岡第一を倒し県勢初の4強を狙う。

 アフリカンパワーがまたもさく裂した。第4クオーター(Q)、最後まで食らいつく相手を尻目に、シェリフがこの日50得点目となるシュートを静かにゴールへ放り込んだ。大会史上初の2戦連続50得点超え。県勢記録に並ぶベスト8進出へ導いたスコアラーは「(杉村)先生からいつも『50得点30リバウンド』って言われているから」。リバウンドこそ25だが、それでも得点とともに今大会個人通算1位を独走している。

 前日明成戦のアリウープに続き、この日も2本のダンクシュートをぶち込んだ。しかし、高さだけでゴールを量産しているわけではない。第1Qの3点シュートを含め、3本のジャンプシュートについても「自信持ってやっているよ」と、あっさりと言い切る。高さだけではいずれ通用しなくなることを本人が一番分かっている。だからこそ直前練習では、杉村監督の飛龍時代の教え子である近大の202センチ楊国良(2年)を相手に、練習に励んだ。

 13歳からバスケを始めまだ4年。努力を惜しまぬ姿勢はバスケだけにとどまらない。夢を追いかけセネガルからはるばる異国の地にやってきた。まずは語学習得に努め、漫画「ドラえもん」を教科書代わりに読みの特訓をした。すしなどの生ものは苦手だが、今では「ラーメン大好き」と舌も順応してきた。日課は青森中央学院大にいる兄シェルノ・ソウさん(4年)とiPhoneで電話すること。悩みをいつも聞いてもらっているという。

 今日27日には、県勢初の4強入りがかかる。相手の福岡第一には同じセネガル人ゲエイ・マリック(2年)がいるが「友達だけど絶対に負けないよ」とシェリフは言う。器用で努力家という日本的な一面を持ち、セネガル人としてのプライドも忘れない。東京体育館のメーンコートに正真正銘の大器が立つ。【栗田成芳】