今回は、NBAキャバリアーズ「PowerHouse Dance Team」のダンサー寺田智美さんを2回にわたって紹介します。前編はNBAダンサーを目指したきっかけについて、後編は夢をつかむための秘訣(ひけつ)などを語ってもらいます。
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-NBAダンサーになりたいと思ったきっかけは
日本でのチア活動を経た当時は現役引退も考えていました。しかし、Xリーグ時代に同じダンスレッスンに通っていた友人が、NFLチアリーダーのオーディションに合格したことに刺激を受けました。2016年の夏に(引退前の)思い出作りのつもりで、NBAバックス・ダンサーズのオーディションを受験し、合格することができましたが、ビザの関係で正式にチームに加入することができませんでした。これをきっかけに、本格的にNBAダンサーを目指すようになりました。
また、私には生まれつき障がいがある姉がおり、彼女はスポーツ観戦が大好きです。そんな姉を本場のNBAの試合に連れて行ってあげたいと思ったことも理由の1つです。姉は何かをできるようになるまでに人の何倍も時間がかかると思いますが「やろうと思えば必ずできる、できないことはない」ということを姉に証明したいと思っていました。
姉は昔から外出に消極的で、例えば旅行に行く時も、本当は行きたいのに遠慮しているような感じでした。そんな姉にとっては「アメリカに行けた」ということが自信になるだろうし、そのきっかけを作りたいと思っていました。
一昨年、家族を試合に招待し、姉も私のパフォーマンスを見にアメリカまで来てくれました。今では「私は姉のおかげで合格できた。姉も私のおかげでアメリカに行けた」と思っています。アメリカに行ったことがきっかけで、姉は少しずつ積極的になってきたと両親から聞きました。そのことが一番うれしかったです。
-2シーズン目について
実は今年から新たにチームを一新しました。競技スタイルであるアクロバティックなヒップホップダンスにフォーカスされた男女混合のダンスチームです。
そして、今年からキャプテンを務めています。今年は男女混成チームに変化し、コーチも代わり、チームメートも一新しましたので、まずは、そういったチームのベース作りが大変でした。また、キャプテンとして、みんなの前で指示を出す際に、英語の使い方にも難しさを感じました。大事な場面などで、チームメートに伝えたいことを、英語できちんと伝わっているかどうか。また、チームメートが悩んでいる時にかけてあげる時の言葉選びも、母国語ではない英語を使うということで、本当に苦労しました。
今年から新たに一新されたチームだったので成功させたい気持ちが強かったですし、何より、新しく今年からチームに加わったルーキーのみんなに、NBAダンサーの楽しさを伝えたいと思っていました。(つづく)
◆寺田智美(てらだ・ともみ)埼玉県出身。高校でチアダンスを始めて、Xリーグ・オービックシーガルズのチアリーダーとして3年間活動。その後、17年に渡米。身長158センチ。ダイナミックで激しく、スピード感あふれるダンススタイルを得意とする。