悲願の昇格を目指しているバレーボールのVリーグ男子2部のヴォレアス北海道は昨季に続き不運に見舞われながらも、来るべき時に備えて準備を進めている。対戦相手に新型コロナウイルス感染者が出たことを受け、Vリーグ機構は男子1部と2部の入れ替え戦(今月3日、4日千葉・船橋アリーナ)を2年連続で中止することを発表。試合の再設定など今後の対応が注目される。

中止の発表は試合2日前の今月1日。北海道はこの日旭川空港で壮行会を行い、飛行機に乗って現地入りする予定だった。壮行会直後に開催中止の知らせを受け、出発を急きょ取りやめた。降旗雄平GMは取材に「中止の知らせを受けたときには、既に保安検査を通過している選手やスタッフもいました。2年連続入れ替え戦が中止となったのには驚きました」と振り返る。

理由はまたも新型コロナだった。

対戦相手の男子1部大分三好ヴァイセアドラの関係者がコロナの陽性判定を受け、選手とスタッフが濃厚接触者と判定された。選手らは今後PCR検査を行うとともに経過を観察していくので、週末の入れ替え戦は中止を余儀なくされた。 取材に応じたVリーグ機構の担当者は「代替試合も含めて対応は今後検討していく」としている。

昨季の入れ替え戦は元々無観客で行う予定だった。その後にVリーグ機構は先行きが不透明な社会情勢や延期する場合の日程や会場確保のめどが付かないことを理由に方針を変更。東日本大震災のあった10-11年シーズン以来となる中止を決めた。昇格のチャンスがあったのに試合が開かれず、北海道は今季も2部で戦うことになった。

気持ちを切り替え、選手たちは悲願の昇格へ前を向いた。08年北京男子代表のアウトサイドヒッター、越川優(36)ら実力者も加入し、今季は15勝3敗(勝率8割3分)と昨季に続く2位。リーグ戦終了後の3月末には全日本インカレ4連覇の早大と連日練習試合を重ねていた。

降旗GMは「レギュラーラウンドでもコロナの影響で試合が延期となり、代替試合が行われることはありました」と話し、入れ替え戦も同様に対応すべきと指摘。試合日程が再度設定されることを信じ「早期の開催に向けて両チームとリーグ側で協議していきます」と話す。

ライバルチームの関係者も今後の動向を注意深く見守っている。

今季のVリーグ「優秀GM賞」を獲得した男子2部のヴィアティン三重の椎葉誠さんは今月と来月の三重県内の体育館の空き状況を調べたといい「これから高校スポーツ大会も始まるので、開催場所が取れなくて入れ替え戦が開けないこともありうる。中立地としてお手伝いできることがあればと日程を1日おさえてました」と話した。

熱心な行動の裏には、入れ替え戦というスポーツの醍醐味(だいごみ)を、選手、関係者、ファンと一緒に分かち合いたいとの思いがある。今季熱戦を繰り広げたライバルチームでもあり、競技を愛する1人としても入れ替え戦が見たいと語る椎葉さん。「ヴォレアスさんと私たちは同期。1部のチーム相手にどれだけ力が通用するか見てみたい」。その言葉が印象に残った。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)