ラグビーのリーグワンは、先週末に各地で入れ替え戦の第1戦が行われた。2部1位で練習試合も含め今季全勝、昇格の筆頭候補と目されていた浦安D-Rocks(ディーロックス)が敗戦。その相手が歴代ワーストの開幕14連敗を喫するなど1部最下位(1勝15敗)の花園近鉄ライナーズだったから、その試合はちょっとした波乱となった。

第1戦(7日)は浦安14-36花園。浦安が昇格するためには、13日の第2戦(東大阪市花園ラグビー場)で22点差以上をつけて勝利する必要がある。スクラムで圧倒されただけに、中5日でどれだけ修正することができるか。ハードルは決して低くはない。

仮に浦安が1部昇格を逃した場合、新たな問題が生まれる。

昨年1月にNTTドコモがNTTコミュニケーションズを子会社化。それはラグビー界にも波及し、1部にいたNTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安(浦安)と、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪(大阪)が再編された。プロ契約選手らを含む主要機能を浦安に集約させて誕生したのが浦安D-Rocksであり、社員選手中心の大阪は3部に降格して再出発。当初は「1部、3部」を想定していたが、浦安は入れ替え戦の末に2部降格した経緯がある。

今季の大阪は11勝1敗で、既に1年での2部昇格を決めた。1部復帰への期待が高まっていた浦安が今回、入れ替え戦の第1戦でつまずいたことにより、再び「NTT」の2チームが今度は2部に在籍する可能性が出てしまったのである。

リーグワンの関係者は「今回、プレッシャーがかかるのは浦安の方ですよ。(1部に)上がれへんかったら、どうするのか」と漏らしている。

Jリーグなどを筆頭に、プロスポーツ界では同一企業による二重所有を禁じている。それは、八百長などを防ぐためである。

NTT側も親会社と子会社の両方がチームを持つ状態を見直すことを理由にチーム再編を決断したはずだった。浦安は新設したラグビー事業会社「NTT Sports X」が運営し、出資比率はドコモ40%、NTTコム40%、NTT20%と公表されている。

昨春の会見ではリーグワンの東海林一専務理事が「仮に今後、ドコモ保有チーム(大阪)が2部や1部になった場合、他チームとの独立性はしっかりリーグとしてウオッチして、担保していきたい」と話していた。

現在、リーグワンは1部は12チームだが、2部は6チームだけ。うち2チームが「NTT」になれば、公平性が保たれるのか不安は残る。

現場では選手、スタッフが必死にプレーする。他チームを含めて、誰もが納得するルールの整備や透明性の確保がリーグ側には求められる。【益子浩一】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「We Love Sports」)