どーもです。今日はいつものゴルフ体験主義とは趣が違いますが、草の根活動に取り組む今野一哉プロ(38)を紹介したいと思います。今野プロと知り合ったのはかれこれ10年ほど前のことです。当時から鬼ほど飛ばすイケメンプロでしたが、そんな今野プロは19年9月、東京・江戸川区に「キッズゴルフスクール」を開設。なぜ、子どもが対象なのか? そこには、今野プロが考えるゴルフの現状に対する危機感があったからです。


松山英樹プロ(29)が今年4月、4大メジャーの1つ「マスターズ」を日本人で初めて制したことで、今ゴルフ業界には追い風か吹いています。使用するクラブやシャフトへの注目は高まり、今でも中古市場では品薄、欠品状態が続いています。矢野経済研究所の三石茂樹氏は、「松山プロのマスターズ優勝効果については、優勝翌週以降のダンロップ製品(特に「ZスターXV」)の動きを見れば一目瞭然かと思います」としたが、「クラブについても反応はしているのですが、いかんせん欠品が続いており、チャンスロスも多かったらしく、単純に“優勝以降の売上数”では測れない面があります」と付け加えた。


また、6月には笹生優花(20)が「全米女子オープン」で優勝。「笹生プロの優勝効果については、使用クラブの三浦技研の商品が当社小売店トラフィックデータ対象店の中では取り扱いが少なく、定量分析はちょっと難しいかと思います。ただ、三浦さんには笹生プロ効果も手伝ってバックオーダーが溜まりまくっているため、秋までは新規の小売店からの注文を受け付けないようにしているそうです」(同氏)と明かした。さらには、皆さんもご存じの通り、東京五輪で稲見萌寧(22)が銀メダル獲得。ゴルフ界に追い風が吹いていることには間違いないと思います。


実際、将来の松山らを夢見る子どもたちや、それを後押しする親御さんも増えているようで、今野プロが運営する「キッズゴルフクラブ」でも、「松山プロの優勝以来、ゴルフへの興味をもった親御さんも多く、問い合わせは確実に増えている」という。


同スクールは8月22・23日、長野・サニーカントリークラブゴルフレンジで親子ゴルフ教室「キッズゴルフサマーキャンプ」を行っています。

300yを誇るレンジでは親を対象にしたプロによるレッスン、アプローチ練習場にはスナッグゴルフのコースを設営し、子どもたちに体験させました。

6ホールの練習ホールでは、親子で一緒に実際にラウンドできるようにもしました。「子どもたちが実際にゴルフコースを回るのはまだまだハードルが高いので、協力いただいたゴルフ場に感謝したい」とし、「こんな状況下で夏休みのイベントがほぼなくなる中、ゴルフは比較的安全性が高いとされているので、細心の注意の下で開催しました」。実際、マスク等の輸入商社ナナプラスやアース製薬のスポンサードを受け、参加者には除菌スプレーなどを提供。スタッフもPCR検査を済ませて開催した。


参加者の親世代は30~40台が中心。親御さんたちからは「ゴルフに興味をもってくれたのもうれしいけど、あんなに楽しそうにしているのを見るのは本当に久しぶり」などの声が上がり、参加した子どもたちからは「まだやりたい」「帰りたくない」「今度はいつやるの?」と大いに盛り上がったようです。


では、なぜ今野プロが未就学児の3歳からレッスンを受けられる同スクールを開設したのだろうか? そこにはゴルフ界の先行きを危ぶむ今野プロなりの考えがあったからです。「今のゴルフ界は高齢者がコアターゲットになっていますよね。この高齢者たちがいなくなった後のことを考えるとどうなるのかなって。日本はアメリカ、カナダに次ぐゴルフ場保有国ですが、少子高齢化で高齢者がいなくなったらゴルフ場の数も雇用も維持できなくなってしまいます」。


業界もさまざまな対策を打ってきたはずだが、まだ「『ゴルフ=お金がかかる』のイメージを脱却できていない」という。「20~30代に話を聞くと“ゴルフをするのに1日3~5万は必要”とか“ゴルフクラブを買うには50万円くらい必要”とかなんです」。確かにボクがゴルフを始めた90年代にはそんなコースが多かったと思います。そのころから比べると今はかなり安価で、ある意味気軽にエントリーできる時代にはなっているはずですが、「それが伝わっていない。だったら、そんなイメージがない世代にしっかり伝えるほうが速い」と考えた。


今野プロは14歳でゴルフを始め、26歳でプロ宣言。ツアープレーヤーとして“男子プロ”を目指したが、諸々の事情で断念した。「心が折れたのは自分の責任だけど、最もつらかったのは“男子プロなんて”と言われることだった。男子プロの印象は決して良くない」とし、「試合数をみても女子の方が多いですよね。スポンサーからみても男子ツアーは魅力が低いということでしょう」。これにはゴルフという競技が「観戦者のほとんどがゴルファー」という特殊な一面も影響している。「例えば、野球やサッカーはプレーヤー以外の人も見に来てすごいと感動してくれる。男子プロが300y飛ばしても、ゴルファーには伝わっても、そうでない人は“すごいことなの?”となってしまう。だから、見る側の人に何がすごいことなのかを伝えるのも必要だと思っています。僕がこんな格好をしているのは『ゴルフのソムリエ』になるためなんです」と笑い、「USPGAはみんなショーだと思ってみてくれている。日本の男子ツアーもショーとして見てほしい」と願う。

スクールというかたちを取ってはいるが、「スクールから将来のメジャーチャンプを出したいとかは思っていません」という。「そんなことよりもゴルフが野球やサッカーのようにごく自然に見てもらえる競技になってほしいです」。また興味をもった子どもたちが気軽にゴルフに接することができるように「ゴルフをそろばんや英会話のような“習い事”にしたい」と熱く語った。


最後の言葉が印象的でした。「言うはやすく行うは難し」ですが、実際に行動を起こしている今野プロには1人の人間として、そして男として尊敬します。ここで紹介したいと思わせた発言を紹介して締めたいと思います。


「ゴルフでいいことも悪いこともあったけど、自分は日本のゴルフに育てられ、日本のゴルフが好き。育ててくれたものが衰退していくのはつらいんです。本来なら企業がやることかもしれませんが、自分で出来ることをしたいんです」