少しだけ、宮里藍さん(33)は口調を強めた。9月13日、都内のホテルで開かれたブリヂストンタイヤの新商品発表イベントに出席。自らの今後について言及した時だった。

ブリヂストンタイヤの新商品発表イベントに出席した宮里藍さん
ブリヂストンタイヤの新商品発表イベントに出席した宮里藍さん

「ジュニアを育てるという意味では、それが自分に唯一できることかなと思っている」。

昨年9月に現役引退した藍さんは日本ゴルフ協会(JGA)から東京五輪日本代表のコーチ就任を要請されていた。しかし7月3日に辞退を発表。JGAを通じ、コーチングやジュニア世代のメンタルトレについて興味があることを示しつつ「昨年現役を引退したばかりでコーチング経験がなく、(中略)選手にとってベストな状況を作ることが出来るのだろうか、という懸念がずっと頭から離れず、最終的に今回はまだ難しいと判断するに至りました」と辞退理由を説明していた。その発表以来となるイベント出席の場で、あらためて指導者への意欲をみせた。

このイベントは「スマイルジャパン」アイスホッケー日本女子代表のFW久保英恵、DF床亜矢可、FW床秦留可と一緒に参加していた。控室でアスリートとしての会話が弾んだことを明かし「今までアイスホッケーは競技としてすごく興味あったので伺いましたし、ゴルフにつながることありました。これからも、いろんなところで(他競技ことを)聞けたらと思います」と貪欲な姿勢をみせた。

現役時代は米ツアー出場のためにシーズンのほとんどを転戦する毎日。ゴルフ以外のアスリートと触れあう時間も、タイミングも少なかったと想像する。今はより自由な立場にある。スポンサー関連の仕事を続けていく中で、他競技の選手らと交流を図り、指導者としてスキルアップを図っていきたいようだ。「そのためにも一生懸命勉強したいと思っています」と強調していた。

スマイルジャパンのFW久保英恵(右端)女優綾瀬はるか(中央)とイベントに出席した宮里藍さん
スマイルジャパンのFW久保英恵(右端)女優綾瀬はるか(中央)とイベントに出席した宮里藍さん

約2年後に迫った地元開催となる東京五輪コーチの辞退は残念だが、藍さんの胸の内で指導者としての機が熟す瞬間が必ずやって来る。それが6年後の24年パリ五輪で実現するかもしれない。そんな大きな期待を抱かせる藍さんの言葉だった。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)