アスリートが試合前、テンションを高めるために聞く音楽に興味がある。アスリートのテンションを上げる「勝負曲」は何か。タイミングがあれば、時々質問している。

今季開幕前に取材した注目の国内女子ツアールーキー、佐藤心結(18)にも聞いた。試合前練習で聞くのは、人気ロックバンドのONE OK ROCKの楽曲。中でも「キミシダイ列車」と「完全感覚Dreamer」を挙げた。

佐藤によると、曲の発掘はいずれもテレビ番組がきっかけだった。東京オリンピック(五輪)銀メダルのバスケットボール女子日本代表がバラエティー番組に出演。「キミシダイ-」を聞いていると明かした代表選手がいたという。

「完全感覚-」については、フィギュアスケート羽生結弦の特集番組。羽生が試合前のアップ中、口ずさんでいたのを見たことがきっかけだった。ちなみに、羽生は以前、「キミシダイ-」も試合前に聞いていると明かしていたが、佐藤は知らなかったようだ。

勝負曲は人それぞれだ。今年の箱根駅伝で、ぶっちぎりの新記録で優勝した青学大の選手数人にも聞いた。エース近藤幸太郎はラッパーSEAMO、主将だった飯田貴之は女性6人組グループ、BiSH。人気男女ユニット、YOASOBIの曲を挙げた選手もいた。好きなアーティストの曲を挙げた選手が多かった。

佐藤は好きな曲で気持ちを上げるタイプではない。「アスリートの方がどういう曲を聞いてモチベーション上げているのか、気にしています。(アスリートが)聞いているという曲を、実際に探して聴いてみます」と明かした。

小学生低学年はサッカーに熱中。小5で市大会のソフトボール投げで2位。中学時代は陸上部に所属し、砲丸投げで県地区大会で優勝経験を持つ。経歴から幅広く興味を持ち、自分がいいと思えば取り入れるタイプと見て取れる。そういった姿勢が勝負曲選びにも表れている気がした。

違うジャンルのアスリートの手法も参考にし、いいものは積極的に取り入れたい-。プロ1年目。勝負曲の選び方にも、アスリートとしての向上心と素直さを感じた。【近藤由美子】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)