暑さに負けず、芝の上を楽しむゴルファーのみなさんに好評な毎週火曜日の「タケ小山のゴルフ即効薬~今週の処方箋~」。今回は「フェアウエーバンカーの秘技」です。これで、ナイスショットがフェアウエーバンカーにつかまったって怖いものなし !


すくい上げず、打ちこまず、払うようにボールの“赤道”より下にクラブを入れればクラブのロフト通りに球が上がる
すくい上げず、打ちこまず、払うようにボールの“赤道”より下にクラブを入れればクラブのロフト通りに球が上がる

 「よっしゃ! 今日イチだ!」と喜んだのもつかの間。ちょっとしたアライメント(目標に対してアドレスした時の体の向き)のズレや風のいたずらで、ナイスショットがフェアウエーバンカーにつかまり、がっくりと肩を落とした経験は誰にでもあることでしょう。でも、恐れることはありません。冷静に対処すれば、まだまだパーが狙えます。

 フェアウエーバンカー、あるいはライン上で本当ならそこを越えたショットを打っていくような位置にあるクロスバンカーと呼ばれるハザードは、ティーショット、あるいはパー5でのセカンドショットが落ちる場所に口を開けています。ですから、つかまるとどうしても距離を稼ごうとしたくなります。気持ちは分かります。

 でも、ちょっと待って! まず、考えなければいけないのは残り距離ではなく、ボールの高さです。当たり前ですが、必ず土手を越えるクラブを選んでください。距離を稼ごうとしてロフトのないクラブを持ってバンカーから脱出できないのでは本末転倒ですからね。脱出を第一に考えてください。

 次に気をつけるのは絶対にダフらないことです。ミスをするならトップのほうがまだチャンスはあります。いずれにしても、以前(8月1日付紙面)お話しした砂の質を考えるのが大前提なのは言うまでもありません。

 この2つを守った上で、打つときの狙いはボールの“赤道”よりやや下の部分です。ここより下にクラブが入れば、必ず、ボールは上がり、バンカーから脱出することができます。トップした方がいい、というのはこういうことなのです。

 すくい上げるのも、打ちこむのもNG。払うようにボールの“赤道”より下にクラブを入れる。そうすればクラブのロフト通りに球が上がり、自然にバンカーから脱出することができます。フェアウエーバンカー恐怖症を克服することもできて、万々歳というわけです。

 バンカーにつかまったからといって、慌てたり、気を落としたりせずに、ボールの“赤道”の下を狙って打つこと。これに尽きます。

タケ小山のお手本ショット
タケ小山のお手本ショット

今週の処方箋

ボールの下半身を狙え!

【服用法】ボールのライと砂質を見極め、絶対に顎を越えるクラブを選択したら、払い腰!

 ◆タケ小山(こやま)本名・小山武明。1964年(昭39)7月7日、東京都生まれ。中大卒業後、プロゴルファーを目指して89年に渡米し、フロリダ州のゴルフ場所属プロとなる。米、カナダ、オーストラリア、アジアなどのツアーでプレー。07年に帰国し、日本ツアーに参戦。08年に早大大学院でスポーツマネジメントを学ぶ。ザ・ゴルフチャンネル、ゴルフネットワークなどでのトーナメント解説には定評がある。TBS系「サンデーモーニング」の「屋根裏のプロゴルファー」として知られる。InterFMの「Green Jacket」(土曜午前5~8時)、文化放送の「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7~9時)などに出演。

◆協力 ザ・インペリアルCC(茨城県稲敷市)

◆取材・構成 遠藤淳子(清流舎)

◆撮影 松本俊