<男子ゴルフ:サン・クロレラクラシック>◇最終日◇2日◇北海道・小樽CC(7535ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 石川遼(17=パナソニック)が、涙の完全優勝でツアー通算4勝目を飾った。首位で迎えた最終日は、昨季賞金王片山晋呉(36)らの猛追に重圧をかけられ、後半はブレンダン・ジョーンズ(オーストラリア)とマッチレース。「1打のミスも許されない状況」と、逃げ切ることの難しさを初めて経験しながら、最終18番でバーディーを奪って競り勝った。優勝スコアは通算17アンダーの271。今季2勝目で国内賞金ランクはトップに浮上し、名実ともに日本のエースとして、今季最後のメジャー・全米プロ選手権(13日開幕、米ヘーゼルティン・ナショナルGC)に挑戦する。

 涙が止まらなかった。最終18番パー4。16アンダーで並んでいたジョーンズがバーディーパットを外す。石川は2・5メートルのバーディーパットを沈め、激闘を制した。ジョーンズと抱き合うと、もう目は真っ赤。「B・J(ジョーンズ)がいなかったら、こんないいプレーはできなかった」。試合中にトイレに4回も行くほどの緊張から解放され、こらえていたものがあふれ出た。

 2位に2打差で迎えた最終日、勝負は甘くはなかった。5番でボギーとスコアを1つ落として迎えた6番で、順位ボードを見ると、通算11アンダーで片山と首位タイで並んでいた。4連続バーディーと底力を見せてきた昨季賞金王の影に脅かされた。

 石川

 片山さんがものすごい勢いで追いついてきた。あそこで一気に気合が入った。スコアを伸ばさなくてもいいとの思いもあったが、そこで気持ちをリセットした。

 6番からの4ホールで3バーディーを奪い、単独トップで後半に突入。ここから同じ最終組で1打差のジョーンズが食らいついてくる。10番、13番、14番と互いにバーディー。「1つでもミスすると、置いていかれる展開。1つのミスも許されなかった」。ついに15番でボギーをたたき、ジョーンズと並んでしまった。

 勝負は最終18番パー4に持ち込まれた。第1打はともに右バンカーに入れ、石川は残り195ヤードの第2打で勝負に出た。

 石川

 5番アイアンか4番アイアンかで悩んだ。5番ならいいショットでもピン手前10メートル。そこで良しとするか、ピンまで突っ込んでいくのか。迷ったけど、ここはもうピンに行くしかないと。

 4番アイアンでピン左奥2・5メートルにつけた。重圧の中、最後まで攻め、勝利をもぎ取った。

 この今季2勝目で、国内賞金ランクでトップに浮上した。賞金王を決める海外獲得賞金を含むランクではまだ2位だが、「最終戦終了まで賞金王争いに加わりたい」と、最年少キングを狙いにいく。コーチで父勝美氏が「賞金王を取ってマスターズに出るということを言える位置に来た」と言えば、会場を訪れた青木功も「賞金王を取るかもしれない。末恐ろしい」と舌を巻いた。敗れたジョーンズも「彼こそ日本NO・1」と断言。17歳が名実ともに日本のトップの座に駆け上がった。【田口潤】