<男子ゴルフ:パナソニックオープン>◇2日目◇25日◇兵庫・六甲国際GC東C(7255ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)※賞金ランク加算は75%

 石川遼(19=パナソニック)がツアー初のホールインワンを達成した。6番パー3(187ヤード)で、7番アイアンのショットがそのままカップイン。1イーグル、2バーディー、3ボギーの70で通算3アンダー、139として、首位と1打差2位。26日の最終日、ホスト大会での逆転優勝、今季3勝目に向け、ミラクルショットで勢いをつけた。小田龍一(33)が通算4アンダーで首位、石川と並ぶ2位に甲斐慎太郎(29)がつけた。

 石川はきょとんとしていた。「ボールがピン前1メートルに落ちて、すぐに消えた。見失う感じ」。昨年6月10日、日本プロ開幕前日の練習ラウンドで達成して以来生涯2度目、ツアー初のホールインワンを見逃した。大歓声で快挙を知ると加藤キャディーや同組の薗田らとハイタッチ、バンザイ。中継局のテレビカメラに思いっきりカメラ目線でサムアップポーズを決めた。

 記念球も、迷わずギャラリーに投げ込んだ。「マスターズで優勝したボールなら誰にもあげませんけどね。打ったのは僕ですが、ギャラリーの皆さんの視線、歓声、願いがあってこそと思います」と笑った。

 快挙は6番パー3で生まれた。ピンまで187ヤード。打ち下ろし分を22、23ヤード、右からのアゲンストを踏まえ、166ヤード計算で7番アイアンを握った。打球は秋晴れの空からピン前1メートルに落下し、カップに消えた。

 風の神様に感謝した。「球筋のイメージは『ピン右』だった。風に流されて『これ以上左はまずい』と思った」。裏を返せば、カップに導いてもらった。ころころ変わる風向きや強弱も不思議と一定し「運が良かった」という。この日は高弾道の5番ウッドを抜いて、低弾道の0番アイアンを入れた。ドライバーもいつもの3分の2の高さに抑えて打った。「今までで一番目まぐるしかったかも」という風を、味方につけた。

 パー3は苦手だった。実際、先週終了時点の今季累計スコアではパー5の53アンダー(11位)パー4の7アンダー(1位)に比べ、パー3は16オーバー(61位)。しかし、海外メジャーなど多くの難コースを経験して「唯一、アイアンを真っ平らなライでティーアップして打てるチャンス」と思うようになった。

 スコアを1つ伸ばして通算3アンダー。首位とは1打差だ。「優勝スコアは6、7アンダーあたりでは。67、68で回れたら優勝できると思う」。所属先パナソニックのホスト大会、ツアー初エース。逆転Vの雰囲気が漂ってきた。【加藤裕一】