成田美寿々(25=オンワードホールディングス)が、宮里藍さんが大会アンバサダーを務める冠大会の“初代女王”に輝いた。

 「絶対に優勝争いをして盛り上げたいと思ってました。優勝より、優勝したら“表彰式で声をかけてもらえる”。むしろ(目標は)そっちでした」。宮里藍さんのミヤギテレビ杯でのアマチュア優勝を見て、プロゴルファーを志した“藍チルドレン”は、表彰式で憧れの人にハグされて、大喜びだった。

 最終日に首位との4打差を追いつき、有村をプレーオフで破った。鮮やかな逆転劇の裏には、宮里さんと同じように世界を意識した戦略がある。

 今季からシーズン中も週に1度欠かさず、トレーニングを行う。今年2月、タイ開催の米ツアー競技ホンダLPGAに推薦出場。ジェシカ・コルダの優勝スコア、通算25アンダーにがくぜんとした。世界の飛ばし屋レキシー・トンプソンらが、当たり前のように大会中のトレーニングする様を見た。「ただでさえ体力負けしてる日本人がやらないでどうするんだって」。楽に飛ばすパワー、高く、グリーンで止まる球を打つ力が欲しい。

 世界で戦うパーツを手に入れようと、1月下旬には米アリゾナ州フェニックスへ。完全オーダーメードで注目を集めるクラブメーカー「PXG」の本社を訪ねた。昨季から同社のアイアンを使っているが、ドライバーにも興味を持った。インターネットを見て、男子トッププロのザック・ジョンソンが使うモデルに一目ぼれ。ところが、日本に現物がない。だから現地に飛んで「使わせてほしい」と頭を下げた。渋る相手を説得して、手に入れたという。

 大きな目標は、20年東京五輪(オリンピック)出場、そして金メダル獲得だ。日本の出場枠は世界ランク上位2人が予想されるが、現在同80位。日本勢は自分の上に7人いる。ただ、焦りはない。「あと2年あるので、もっと地力をつけたい。そうなれば、結果はついてくる。そういう考えです」。世界を見つめる成田にとって“宮里藍トーナメント優勝”のタイトルは、願ってもない自信になるはずだ。