星野陸也(22=フリー)が7バーディー、2ボギーの66で回り、通算16アンダーの268でツアー初優勝を飾った。

ウイニングパットを決めた瞬間は笑顔でガッツポーズをつくったが、ロープ際で応援していた父宏さん(55)ら家族のもとに歩み寄ると涙があふれた。「小さい頃から育ててもらって、勝手に涙が出てきました。自分でも、優勝できて感動しました」。ゴルフでうれし涙を流したのは、水城高2年の関東ジュニアを制した時以来。ツアー本格参戦1年目だった昨季から大型ルーキーとして期待を背負ってきただけに「やっと、応えられました。良かったあ…」と素直な感情があふれた。

後続に5打差をつけてのスタートだったが、同組で追い上げてくる重永亜斗夢、木下稜介に脅威を感じていた。8番で微妙な距離のパーパットをねじ込んだが「外していたら2打差。こんなに早く追いつかれるのかって。手が震えそうになりました」と振り返る。流れを変えたのは10番のチップインバーディー。「想像の1・5倍くらい強く入ってしまった」というアプローチは、明らかにオーバーする勢いだったが、ピンを直撃してカップに消えた。「優勝する時には、こういう奇跡もあるのかなと、あらためて思いました」と笑った。

第1日からトップを譲らない完全V。富士桜CCに舞台を移した05年以降では、05年丸山大輔、08年藤島豊和の13アンダー、271を更新する大会最少ストロークでもあった。「(大会新記録は)メチャクチャうれしいです。4日間を通じて、マネジメントは完璧に近かった。ドライバーはちょっと良くなかったけど、スプーンでカバーできた。富士桜でこんなにいいスコアで上がれたのは、自信になります」と言った。

186センチの長身から放つ300ヤード超のビッグドライブに加え、小技の成長も著しい。賞金ランクでは3位に浮上し、トップとも約710万円差につける。「(2年後に)東京五輪(オリンピック)もあって、それまでにしっかり成績を残して、賞金王にもならなくちゃいけないと思っています。このチャンスをものにして、賞金王になれるよう、後半戦を頑張りたい」。近い将来の海外挑戦も見据えている期待の新星は、さらなる飛躍を誓った。