AIG全英女子オープンを制した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、凱旋(がいせん)2戦目での優勝へ好発進した。

6バーディー、1ボギーの67で回り5アンダー。首位と3打差7位につけた。大観衆が見守る1番パー4でチップインバーディーを奪い、勢いに乗った。珍しく「優勝を狙うからにはこのくらいのスコアを出さないと」と国内3勝目を意識する発言も飛び出した。ツアー初勝利を狙う浜田茉優(まゆ、23)が8アンダーで首位。

   ◇   ◇   ◇

雨上がりの1番ホールを大勢の観衆が取り囲んだ。第1打を左ラフに飛ばした渋野が、いきなり見せ場を作る。第2打はグリーン手前へ。残り16ヤード。56度のウエッジですくうように打った球が、直接カップへ吸い込まれた。朝霧が漂うコースに大歓声が響く。続く2番パー5も、グリーン奥からの第3打を2メートルに寄せて2連続バーディー。観衆は渋野にくぎ付けになった。

「先週以上の(観衆の)多さですね。正直、ビックリ。なかなか周りを見る余裕はなかったけど、たくさんの声援をもらいました」

パー5は4つ全てバーディーを奪い、首位と3打差7位発進。大会前には目標を問われても「先週よりはましなプレーができそう。適当に頑張ります」。のらりくらりが渋野流だが、この日ばかりは少し違った。

「優勝を狙うからには、初日がこのくらいのスコアでないと(第2日以降に)ビッグスコアを出さないといけなくなる。今日は、かなり上出来ですね」

珍しく、自ら「優勝」という言葉を出して、凱旋Vを意識した。国内では22ラウンド(R)連続オーバーパーなし。13年アン・ソンジュ(韓国)の国内最長28Rへ近づいている。

第1日では今季2番目となる観衆5577人。お盆休みも重なり渋野フィーバーは増すばかり。販売された「渋野タオル」は午前6時の開門から1時間で100枚が完売。その熱気が今季国内3勝目を後押しする。

全英では駄菓子を食べながらプレーする姿が印象的だったが、過度に注目されるあまり自粛している。

「あれだけ取り上げられたら、食べづらいですよ。今日はハイチュウを食べただけ。あんまり食べるとシャッターを押されるから」

同組の松田から、話題の駄菓子「タラタラしてんじゃね~よ」をおねだりされたが、キャディーバッグには入れていなかった。

「バーディーを取るとお客さんが喜んでくれる。しっかりバーディーを取る」

ボギー以下を打った直後に、バーディー以上を挙げるバウンスバック率はツアー1位。この日も8番でボギーをたたくと、9番ですぐにバーディーで取り返した。笑顔だけでなく、魅了するゴルフも持ち味。残り2日。渋野の夏は、これからが本番だ。【益子浩一】