「最後の最後に台無しにしてしまった。今までの優勝パット以上に、一番緊張しました」

AIG全英女子オープンでメジャー制覇した渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、凱旋(がいせん)2戦目での優勝を、最終18番で逃した。

通算14アンダーで穴井詩、イ・ミニョン(韓国)で並んで迎えた18番パー4。最終組の渋野がバーディーを取れば優勝決定だった。

舞台は整い、大観衆が固唾(かたず)をのんで見守った。フェアウエーからの第2打は、池を越えてグリーンへ。ピンから右、約5メートル半のバーディーパットを沈めれば優勝。まるで、全英を制した最終18番と同じような距離だった。

渋野は勝負に出た。強気に打ったパットは、カップに沈むことなく2メートルオーバー。その瞬間に、会場はため息に包まれ、渋野は苦笑いした。返しのパーパットを入れれば、3人によるプレーオフ(PO)に突入する。

その2メートルも、カップをかすめることなく、まさか3パットのボギー。POすらも逃し、3位になった。

POが行われている18番の横で取材に応じた渋野は、18番を振り返り「(バーディーパットは)当たった瞬間に入らないと思った。返しも、かすりもしなかった。情けないです。何が何だか…。最後は決めたい距離。せめてパーで終わらないと…。3パットしてしまったのが、情けない」。

笑顔は消え、悔しそうに唇をかむ。その横で、大勢のギャラリーが、温かい拍手を送り続けた。

クラブハウスに戻り、母伸子さんに肩をたたかれると、感情が揺らいだ。ロッカー室に入り、1人泣いていたという。

会見で渋野はこう明かした。

「人前で(涙を)見せるものではないので、我慢をしていました。(涙が)出たっちゃあ、出ました」

次週は欠場し、静養する予定になっている。