タイガー・ウッズ(43=米国)が、歴史的なVへ王手をかけた。米ツアー通算81勝でサム・スニード(故人)の同最多82勝にあと1勝に迫る、

初日から首位のタイガーは第3ラウンド(R)と最終Rの行われた第3日、日没により7ホールを残して通算18アンダーに伸ばしてトップ。暫定2位の松山英樹に3打差。残り7ホール、スーパースターが偉業達成へ死力を尽くす。

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歴史の扉に手をかけた。首位を走るウッズが、通算18アンダーまで伸ばして初日からのトップをキープ。米ツアー通算82勝目を、はっきり視界にとらえた。65年にサム・スニードが82勝目を挙げてから54年。96年に初勝利を挙げてから23年。ついにレジェンド記録に並ぶ時がきた。

この日は午前8時半に第3Rを開始。18ホールを終え、着替えて午後2時から最終Rへ。この日29ホール目となる11番を終え日が暮れた。午後4時40分に日没サスペンデッド。25日の大雨による中止もあり、変則日程。首位の座を1度も譲らず長い1日を終えた主役は「リードを守っているストレスもあった。簡単ではなかった」と息をついた。無観客試合だった前日から一転、2万2678人の大ギャラリーが駆けつけた。ざわつく周囲とは裏腹に、プレー中、派手なパフォーマンスもなく、表情もほとんど崩さなかった。「自分のやるべきことをやるだけ」。オーラを身にまといながら淡々と、確実にスコアを伸ばした。

1人だけ別次元にいた。第3Rに続いて行われた最終R。1番パー4で3メートルのフックラインを沈めた。5番パー3、6番パー5と連続バーディー。7ホールを残して日没サスペンデッドとなったものの、暫定2位松山に3打の差をつけた。「バーディーを決め続けなければと思っていたが、うまく決めていくことができた」と振り返った。

心強いデータがある。米ツアーで54ホール終了時点で2位に3打差以上つけた試合は、過去24回あるがその全てで勝利している。さらに日本ツアーでも、第3Rを終了して単独トップだった過去2度はいずれも優勝。どちらも「V率100%」を示している。

8月に5度目の左膝の手術をして以来、2カ月ぶりの実戦。膝のダメージが心配されたが「手術後、これほど膝に負担をかけたことはない。それを踏まえるとうまくいった1日」と不安を一蹴。死角はなさそうだ。82勝目について聞かれ「勝つために必要なことに、とにかく集中しなくてはいけない」。午前7時半、早朝の再開から新たなタイガー伝説を、日本で作り上げる。【松末守司】