黄金、ミレニアム世代と若手台頭が顕著な女子ゴルフ界で、早くも次の世代が出番を待っている。2001年度、21世紀生まれの“新世紀世代”だ。

山下美夢有(18)はプロテスト規約改定で、昨年合格した「高校生プロ」3人の1人。最終QT13位で今季ツアー前半戦の出場権を得たルーキーは「賞金女王」を目標に、ミレニアム世代とともに、渋野日向子ら黄金世代の背中を追いかける。

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神妙でいて、無念そうで、納得感もある。18歳の山下が、いくつもの感情を顔に浮かべ、言葉を紡いだ。

「今はコロナがやっぱり怖いです。試合どころじゃないかなと思うし、試合に向けて(練習を)やってきたので、やりたいという思いもあります。でも(開幕から)中止と聞いて、いい判断というか…『いい』と思いました。世界中のみなさんが大事。私も気をつけて、今できることをやろうと思っています」

新型コロナウイルスの感染拡大は収まらず、ツアーは開幕から中止が続く。見通しの立たないプロデビューに備え、地元の大阪府寝屋川市の練習場や、隣接する枚方市にあるショートコースで時を過ごす。

プロテストは昨年度から受験資格が改定され、1歳繰り上がった。「当該年4月1日時点で満17歳」ならOK。大阪桐蔭高3年だった山下は、同学年の西郷真央(麗沢高)笹生優花(代々木高)とともに合格し“高校生プロ誕生”と話題になった。

昨季は、渋野ら98年度生まれの黄金世代がツアーを席巻。今季はアマチュア優勝した古江彩佳、オーガスタ女子アマ3位の安田祐香ら00年度生まれのミレニアム世代が注目を集める。「すごい、うまいという尊敬があります。先輩方を見て、私も頑張ろうと思った」という山下は01年度生まれだ。「何世代ですかね? う~ん…」と黙った後、爆笑しながら打ち明けた。

「聞いた話ですけど“プラスチック世代”とか言われたりするみたいです。うまい子が少なくて『プラスチックやな~』と」

アマチュアでのツアー実績は乏しいが、昨年の全国高校選手権、関西女子アマで優勝。身長150センチはツアープレーヤーに入れば、最も小柄。それをカバーすべく、ウエッジを4本使い、昔からショートゲームで勝負するスタイルを磨いている。「夢は賞金女王です。中学で『プロになろう』と決めた時から、そう思ってます」。プラスチックでなく、21世紀生まれ。“新世紀”の輝きを放ち、プロデビューを待っている。【加藤裕一】

○…山下とともにプロテストに合格した“新世紀世代”は、西郷真央と笹生優花だ。西郷は尾崎将司の弟子で、昨年の日本女子アマで優勝。アイアンショットの切れに自信を持つ。笹生は日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、14歳の時にフィリピン女子ツアーでアマチュア優勝。18年アジア大会は同国代表で個人・団体とも金メダルを獲得。ドライバー飛距離260ヤード超のスケールを誇る。

◆山下美夢有(やました・みゆう) 2001年(平13)8月2日、大阪・寝屋川市生まれ。ゴルフは5歳から。昨年のプロテストに6位合格し、大阪桐蔭高ゴルフ部初の女子プロに。ドライバー飛距離は230ヤード。得意クラブはパター。150センチ、52キロ。家族は両親、弟、妹。憧れのプロはタイガー・ウッズ。趣味は音楽鑑賞で好きなアーティストはC&K。