女子ゴルフの渋野日向子(21=サントリー)が今年のメジャー初戦AIG全英女子オープンで2連覇に挑み、予選落ちした。今後は舞台を米国に移し、ANAインスピレーション(9月10~13日)全米女子プロ選手権(10月8~11日)のメジャーに挑む。77年全米女子プロ選手権覇者の樋口久子(74=富士通)は、渋野の今後について「うまくいかなかったら、練習しかない」とエールを送った。(取材・構成=加藤裕一)

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優勝したポポフはすごかったですね。世界ランク304位で勝った。プロ6年間で芽が出ず「ゴルフを辞めようか」と思った時もあったとか。最終日、最終18番でパーパットを10センチに寄せ、事実上優勝を決めると、その瞬間に泣きだした。

メジャー自己最高6位の上田さんは4日間、すごく落ち着いていました。コロナ禍で周囲の反対を押し切り、覚悟を決めて出場した。4~5メートルのパーパットを何度も入れて、すごく耐えた。昔の彼女はうまくいかないと、感情が表に出るタイプだったのに、我慢できる選手になった。

今は20歳前後の若い子がガンガン活躍する時代です。だからこそ27歳のポポフ、34歳の上田さんに素晴らしさを感じました。

渋野さんは予選落ちでした。私は昨年の優勝の時に言いました。「来年のリンクスで、どんなプレーをしてくれるか楽しみです」と。ウォバーンGCは林間コースで、日本のような雰囲気があった。力があるから勝ったけど、そんな幸運にも恵まれた。ロイヤルトルーンGCは違う。リンクスは強風、下の硬さなど難条件が多い。転がしとか、いろんな技術が必要で特殊なんです。経験不足で今回はうまくいきませんでした。

うまくいかなかったら、練習するしかない。

私は昔、パットにすごく悩んだ時期に「このパターで何勝もしたんだから、自分が悪いんだ」と考えた。不調脱出にクラブを替える方法もあるけど、一時的にうまくいっても長続きはしません。根本的に直さないと、身につきません。

渋野さんは土曜、日曜とロイヤルトルーンGCに練習に来ていました。「1日も無駄にできない」と言ったそうです。メジャーに全部勝つという目標があって、日本の試合から3戦連続予選落ちして、早くそこから抜け出したい。きっかけを作りたい。必死なんでしょう。いいことです。

次は米本土ですね。自然の難しさを生かしたリンクスに対し、米国のコースは作られた難しさ。全くの別物です。洋芝は不慣れでしょうけど、スピンは効く。持ち味の攻めのゴルフと合うんじゃないでしょうか。

全英でのティーショット、ドライバーは良かった。アイアンショットは、パワーアップしてスイングのスピードが上がった分、制御しきれてないんでしょう。時間とともに合ってくるでしょう。

もちろん、また失敗するかもしれません。でも、昔から言うじゃないですか、若い時の苦労は買ってでもしろって。失敗がゴルフの幅を広げてくれるんです。(プロゴルファー)