小祝さくら(22=ニトリ)が、ツアー通算2勝目を挙げた。首位から出て6バーディー、ボギーなしの66で回り大会記録の通算17アンダーの199。6打差の圧勝だった。2年前の同大会でプレーオフの末にV逸。前週のニトリレディースは地元北海道で惜しくも2位だった。悔しさを糧に黄金世代では畑岡、渋野、勝に続く4人目の複数回優勝。12月10日開幕の全米女子オープン(テキサス州チャンピオンGC)でメジャー初出場すべく、世界ランクアップを狙う。古江彩佳(20)と渡辺彩香(26)が2位に入った。

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1・5メートルのウイニングパットを沈めた小祝が、ガッツポーズをしなかった。ボールを拾った右手で、帽子のつばを触っただけ。昨年7月サマンサタバサ・レディースの初優勝も同じポーズだった。「ギャラリーもいないし、しなくていいかなと」と理由を語り、次の3勝目の時は、と問われても「したい気持ちもあるんですけど…でも、やらない可能性が高いと思います」。マイペースは、とことん変わらない。

穏やかな人柄と対照的な圧勝だった。2打差リードでスタートし、きれるショットでチャンスを作り、決める。8番パー3は、17メートルの下りスライスを“壁ドン”でぶち込むビッグ・バーディーもあった。「あんなパットが入るのはなかなかないですから。入ってなかったら厳しいパーパットだったし、本当にラッキー」。終わってみれば、6打差圧勝だ。

黄金世代では畑岡、渋野、勝に続く4人目のツアー2勝目。実力は文句なしのトップクラス。語り口は野心のかけらも感じさせないが秘めた思いだってある。

「海外(米ツアー)には、昨年はすごく行きたかったんです。QT(米ツアー予選会)も考えたし。でも、私は英語がダメだし、海外に行くとなると1人の問題じゃないし」

8月のAIG全英女子オープンは、翌週に故郷北海道でホステス大会のニトリレディースがあったこともあり回避。メジャー出場を諦めてまで臨んだ前週のニトリは、優勝争いを繰り広げながら「女ウッズ」こと19歳の新星・笹生に競り負けて2位だった。

12月開催となった全米女子オープンで、メジャーに初出場したい。「時期も(日本ツアーが)オフだし、ちょうどいい」。7月1日に発表された出場資格=コロナ禍による凍結前の世界ランク75位に、76位で届かなかった。「1つ足りなかったのはショックでした」。だが、11月9日に2度目の“締め切り”がある。具体的資格は未定だが、現在78位の世界ランクを上げておけば、吉報を手にする可能性は高い。

次戦は10日開幕の国内メジャー・日本女子プロ選手権(岡山・JFE瀬戸内海GC)だ。

「練習ラウンドには2度行って、池にも入れました。難しいですが、嫌いなコースではないです」

ギラギラ感は一切出さず、コツコツと目標に近づいていく。【加藤裕一】

◆小祝さくら(こいわい・さくら)1998年(平10)4月15日、北海道・北広島市生まれ。8歳で競技を始める。飛鳥未来高卒。17年夏にプロテスト合格を果たし、18年LPGA新人賞。19年7月のサマンサタバサ・レディースで初優勝。18、19年と賞金ランク8位。趣味はプロレス観戦、音楽、食べること。158センチ、58キロ。

▽2位の渡辺「(国内)メジャーには勝ちたいし、今週に3日間いいプレーができたので、頑張りたい。持ち味のティーショットがどれだけ生かせるかだと思います」

▽比嘉真美子(小祝との最終組対決で71止まり、4位)「トップ5は選手権(日本女子プロ)に向けていい流れになる。小祝選手は本当にすばらしいゴルフでした。私もいいイメージを持つことができました」

▽山下美夢有(初の予選通過で19位)「(1番のトリプルボギー後)切り替えて、落ち着いてプレーしようと思った。スイングのリズムが速くなる。練習と同じように打てるようにならないとダメです」