開志国際高ゴルフ部の長谷川円香(3年)が現役高校生女子として初のドライビングコンテストのプロ登録をしたことを17日、発表した。ケン・コーポレーションカップドラコンフェスティバル(10月17、18日、静岡・東名カントリークラブ)でプロデビューする予定だ。父はバスケットボール男子の元日本代表で、新潟アルビレックスBBでもプレーした誠氏(49=3X3日本代表男女アソシエイトヘッドコーチ)。日本人初のプロバスケットボール選手になった父譲りの“アスリート魂”で新境地を切り開く。

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豪快で独特なスイングを武器に長谷川は「ドラコンプロ」としての道を切り開く。力強く振りながらインパクトの瞬間、小さくジャンプ。さらにフォローでは体を大きく開く。呼称「侍スイング」。7月、スイング動画などを公開しているゴルファー侍伊織に師事し、取得した。「距離だけでなく、しっかりミートできる」。デビュー前に“名刀”を手に入れた。

プロデビュー戦になるケン・コーポレーションカップドラコンフェスティバルでは「優勝を狙う。380ヤードは飛ばしたい」と言う。公式戦自己ベストはワールドロングドライブフェスティバル東日本予選(7月19日)で2位になった289ヤード。これで日本プロフェッショナルロングドライバー協会(JPLA)プロ登録基準の250ヤードをクリアした。女子の日本記録は高島早百合(28)が持つ365ヤード。プロ基準も日本記録も上回る目標を堂々と掲げる。

高校在学中にドラコンのプロ登録をした女子は長谷川が国内史上初。「尊敬している」という父の開拓者精神を受け継いだ。父の誠氏は97年、バスケットボールの旧日本リーグのゼクセルとプロ契約を結び、日本人初のプロバスケ選手になった。00年には米ABAサンディエゴ・ワイルドファイヤに入団し、日本人男子初の海外のプロ選手としてプレー。ドラコンプロを目指すことを父に報告すると「今までみたことがないほど喜んでくれた」。活躍する姿を見せることがモチベーションにもなる。

開志国際ゴルフ部の藤田裕之監督(51)は「ドラコンという分野で注目度を高めてほしい」と期待する。開志国際1年の時に腰を負傷し、2年で競技に復帰。だが全国大会では予選落ちが続いた。競技としてのゴルフは高校までと決めようとした時、ネットでドラコンを知った。侍伊織の下で練習している時期、初日に260ヤードだった飛距離が2日後には366ヤードに。飛ばすことに楽しみと自信を感じた。

来年は米ツアーに参戦する予定。「17戦あるので10勝したい」。そして「来年9月に世界選手権がある。10代で世界を取る」。道なき道を進んだ父と同様に、臆せず世界で戦う。【斎藤慎一郎】

◆長谷川円香(はせがわ・まどか)2002年(平14)6月18日生まれ、秋田県出身。8歳まで新潟市で育つ。秋田大付中1年からゴルフを始め、開志国際に入学。昨年11月のドラコン全日本選手権アマ女子10代の部で優勝。今年8月のワールドロングドライブフェスティバル日本予選は3位。ストロークのベストスコアは73。175センチ、73キロ。

○…誠氏は「成功できるとは思っていない」とアスリートの先輩として厳しい視線を向ける。一方で「できる限りの協力をする」。全国から20社ほどのスポンサーを集め、1年分の活動資金を確保しようとバックアップ態勢をつくっている。「自分なりに将来のことを考えていると思う。いろいろとやってみればいい」と娘の挑戦を見守る。

◆ドライビングコンテスト競技 ティーショットの飛距離を争う。国内には日本プロフェッショナルロングドライバー協会(JPLA)、日本プロドラコン協会(JPDA)があり、それぞれが国内ツアー、プロ・アマ大会などを実施。世界大会も開催されている。