男子ゴルフで「世界ナンバーワン・アマ」の称号、マコーマックメダルを日本人で初めて受賞した金谷拓実(22=東北福祉大)が、プロ転向初戦で国内メジャー制覇という、前人未到の偉業に挑む。日本オープン開幕前日の14日、会場の千葉・紫CCすみれで練習。今月2日にプロ転向を発表後の初戦を前に、将来は、目標とする松山英樹のライバルに成長することを誓った。現行のツアー制度となった99年以降では“プロ転向後最速”の2戦目で優勝した、松山超えと日本一のタイトルを同時に狙う。

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金色に輝くマコーマックメダルを、日本人で初めて首から提げた金谷は、自然と表情が緩んだ。練習ラウンド後のメダル授与式で、アマチュアのナショナルチームの面々、東北福祉大の仲間に囲まれ、偉業を祝福された。だが喜びもつかの間、すぐに翌日からのプロ初戦を見据え、表情を引き締め直してスピーチ。「また新しいスタートだと思うので日々、努力していきたい。しっかりと自分のプレーをして、優勝を目指して頑張りたい」。石川と、前戦の先月フジサンケイ・クラシックを制した星野と同組。目標は「優勝」とはっきり口にした。

「アマ世界一」の実力はすでに証明されている。昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズでは、倉本昌弘、石川遼、松山英樹に次ぐ史上4人目のアマチュア優勝を達成。日本オープンも17年に2位の経験があり、文句なしの優勝候補だ。実績に加え、この日は機器を使ってグリーンの傾斜を細かく確認。「大学のユニホームで出るし、学生感が抜けていない」と笑うが準備に余念はなく、プロ意識の高さをのぞかせた。

当面の目標は、海外ツアーへの出場の幅が広がる世界ランク50位以内と「松山選手に、ライバルと思われる選手になること」だという。世界最高峰の米ツアーを主戦場とする、東北福祉大の先輩松山は、金谷と同様に在学中にプロに転向して2戦目で優勝。99年に日本ゴルフツアー機構が発足後、プロ転向最速の優勝となっている。「自分のできることをやって、早く結果につながればいい」。過剰に意識はしないが、松山を上回るアマ実績を残した自負もある。世界一の男は、プロ最初の照準を日本一に定めている。【高田文太】

<金谷拓実(かなや・たくみ)アラカルト>

◆生まれ&家族 1998年(平10)5月28日、広島生まれ。女子の「黄金世代」の渋野日向子、畑岡奈紗らと同い年。家族は両親と兄。

◆最年少 5歳から競技を始め、広島国際学院高では15年、日本アマを17歳51日の史上最年少で制した。同年の日本オープンは11位となり、史上最年少でローアマを獲得した。

◆メジャー 4大メジャーのうち、全米プロ選手権を除く3大会にアマチュアとして出場したのは日本人初。昨年は松山に次ぐ日本人アマ2人目のマスターズ出場を果たし、予選通過。昨年8月からアマチュア世界ランキング1位を維持。

◆松山と対面 今大会後は渡米し、松山も出場予定のZOZOチャンピオンシップ(22~25日、米カリフォルニア州)に出場し「プロ転向を報告します」。

◆サイズ 172センチ、72キロ。