アマチュア世界ランク1位からプロ転向初戦に臨んだ金谷拓実(22=東北福祉大)は、2オーバーの48位でプロ初日を終えた。3バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの72。首位の今平周吾と6打差だが、最後は連続バーディーで締めて手応えは十分。スロースターターを自認しており、史上最速のプロ転向初戦での優勝へ自信をのぞかせた。

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「アマチュア世界1位」の看板を卒業したばかりの金谷が、最後に本領を発揮した。18番パー5。フェアウエーから放った第2打は、緩やかに転がってピンまで2メートルにつけた。前日14日に機器を用いて計測した、グリーンの傾斜を計算し尽くしたスーパーショット。イーグルパットこそ外したが、難なくバーディーを奪った。「あのショットを打てれば明日(第2ラウンド)は大丈夫」。自信に満ちた表情で断言した。

17番パー4でも4メートルのパットを沈めており、連続バーディー締めとなった。スタート直後の昼ごろに雨が降り始めた。上位陣は軒並み午前の早い時間帯にスタートした選手。雨で難コースの難度がさらに増していた。4番パー4では、雨でぬかるんだバンカーの縁にボールがめりこみ、脱出に2打を要してダブルボギーをたたく不運も。それでも「雨予報は知っていたし準備もしていた」と、言い訳は一切しなかった。それよりも連続バーディーに「明日はどんどんスコアを伸ばしたい」と力説。前向きな精神力の強さこそ、世界1位に立った最大の長所だ。

史上4人目のアマチュアでのツアー優勝を果たした昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズも、第1ラウンドは51位に沈んでいた。「いつも初日は苦手で…」と、スロースターターを自認。プロ第1打の1番ティーショットも左に曲げ、ラフに差し掛かった。それでも1番はパーセーブと、1日や1ホールを通しても、出遅れから巻き返す展開には慣れている。

「世界NO・1アマ」の称号、マコーマックメダルを日本人で初めて獲得するなど、満を持してのプロ転向。今大会は、現行のツアー制度となった99年以降では、あこがれの松山英樹が2戦目で果たした、プロ転向後最速優勝がかかる。同組の石川も星野も舌を巻いた技術は健在。「明日は3、4アンダー出したい」。最後は確信めいた表情だった。【高田文太】

 

◆金谷拓実 かなや・たくみ。1998年(平10)5月28日、広島生まれ。5歳からゴルフを始める。15年に17歳51日の史上最年少で日本アマ優勝。同年の日本オープンは11位で、史上最年少でローアマを獲得。昨年は8月からアマチュア世界ランキング1位を維持し、11月の三井住友VISA太平洋マスターズでアマチュア4人目のツアー優勝。172センチ、72キロ

 

<アマ時代にツアーを制した選手のプロデビュー>

過去3人おり、いずれも最終的にはトップ10入りした。

◆倉本昌弘 81年7月16日、デサントカップ北国オープンでプロデビュー。第1ラウンド(R)は73の1オーバーと振るわなかったが、第2Rで66と盛り返すなど最終的に優勝の藤木三郎と2打差の2位だった。

◆石川遼 08年4月17日、東建ホームメイトカップでプロデビュー。日没サスペンデッドで第1日は15ホールまでの消化だったが首位と1打差。第1Rの残りと第2Rを行った第2日終了時点では首位に立ったが、最終的には5位だった。

◆松山英樹 13年4月18日の同大会で、第1Rを首位と1打差の4位と好発進。最終的には10位だった。