稲森佑貴(26)が第3ラウンド(R)のベストスコア68をマークし、2位に浮上した。8位から出て4バーディー、2ボギーで回り、通算4アンダー、206。首位の谷原秀人に1打差に迫った。ツアー唯一の優勝が一昨年の今大会。初優勝、2勝目がともに日本オープンなら初のケースとなる。生涯獲得賞金の4分の1近くを稼ぐなど、日本オープンとの相性の良さを追い風に逆転優勝を狙う。

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日本オープンに愛されている稲森にしか打てない、ミラクルショットが飛び出した。495ヤードと長い12番パー4。残り240ヤードから3番ウッドで放った第2打は、普段なら楽々池越えだが、雨で飛距離が落ちて池に落ちた。ところが「やってしまったと思ったら池から出てきた。水切りショットっぽく。奇跡というか。本当に運が良かった」と、興奮気味に振り返るほど思いがけない弾道を描いた。このホールはボギーも「池ポチャを考えたら、1打もうかったと思えた」と前向き。その後、スコアを3つ伸ばして2位に浮上した。

スコアを伸ばしたのは4人だけと、難コースと悪天候に各選手が苦しんだ。そんな中、昨季まで5年連続フェアウエーキープ率1位の正確なショットで重くなったラフを避け、この日ベストの68。「全然飛ばないだろうと覚悟していた。通常よりも1番手大きいクラブを選んだら、はまった」と、最終18番は1メートル足らずに寄せてバーディーを奪い首位と1打差に迫った。

今大会はツアー初優勝の一昨年など、過去7度の出場で通算5473万8666円を稼いだ。生涯獲得賞金2億4424万3315円の22・41%にもなる。ツアー1、2勝目ともに日本オープンなら初。日本オープン2勝目達成時の年齢ではバロステロスの21歳6カ月27日、浅見緑蔵の23歳2カ月12日に次ぐ、3番目に年少の26歳16日となる。「やっぱり(国内)メジャーは勝ちたい」。“奇跡”も起きる不思議な相性の良さに後押しされ、日本一を見据えた。【高田文太】

▽河本力(71で首位から2位に順位を下げた)「ティーショットの調子が悪くてゴルフが苦しかった。優勝は全然意識していない。緊張はするけど、対応力は、人よりはあると思っている」

▽石川遼(72で回り通算2オーバーの11位)「トップ10に入って明日(最終日)はスタートしたいと思っていたので、もう1個バーディーを取れていれば。ただ、最低限のゴルフはできた」

◆ツアー初優勝と2勝目が国内メジャー 73年のツアー制施行後、2人いる。羽川豊は81年日本オープンで初優勝後、同年の日本シリーズで2勝目を挙げた。佐々木久行は94年の日本シリーズで初優勝後、95年の日本プロ選手権で2勝目。同一の国内メジャーを異なる年に勝って初優勝、2勝目という例はない。また日本オープンの優勝は、宮本留吉の6度が最多。尾崎将司が5度、中嶋常幸が4度で続く。