2000年度生まれ「ミレニアム世代」の西村優菜(20=フリー)が、6打差を逆転して初優勝を飾った。通算4アンダーの3位から出て8バーディー、1ボギーの65。スコアを7つ伸ばして通算11アンダー、205とし、同10アンダーの首位から出て72と伸ばせなかった「黄金世代」の勝みなみを最終18番で差し切った。国内女子ツアーの優勝経験者では、馬場ゆかりの149センチに次いで2番目に低い150センチ。身長は低くても、大きな存在感を示した。

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初優勝への思いを乗せた打球は、ピンまで1メートルにピタリと寄った。18番パー5の第3打。残り115ヤードから西村が「100点」と振り返った、この日最高の一打が土壇場で飛び出した。通算10アンダーで並んでいた勝がパーでホールアウトしたのを見届け「すごい緊張した」というバーディーパットを沈めると、かみしめるように右手でガッツポーズ。笑顔があふれた。

当初は「トップ3を目指していた」と、首位の勝と6打差の3位でスタートした。前半を終えても4打差だったが後半に猛追。前週までの今季フェアウエーキープ率が、75%で1位の西村の正確なショットは、同30・36%で89位の勝に重圧をかけた。14番で2・5メートルにつけてバーディーを奪い2打差となり「優勝を意識した」。15番で1メートル、16番で2・5メートルにつけて3連続バーディーで追いついた。

最終日の6打差逆転は、11打差の藤野オリエ、8打差の渋野日向子らには及ばないが、歴代8位の劇的優勝だった。9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯では、逆に最終日を単独首位で迎えたが7位。「あの時は守りに入ってしまった。次は絶対に違う戦い方を」と攻めた結果だった。

150センチは歴代優勝経験者で2番目に低い。身長は自己申告だけに149センチなら歴代1位となるが「それはプライドが許さない」と笑う。黄金世代を破って、古江彩佳に次ぐミレニアム世代2人目の優勝。西村も同世代も、存在感が大きくなってきた。【高田文太】

<西村優菜(にしむら・ゆな)アラカルト>

◆生まれ&サイズ 2000年(平12)8月4日、大阪・堺市生まれ。150センチ、50キロ。

◆競技歴 5歳から始め17年にナショナルチーム入り。大阪・大商大高ではアジア・パシフィック・アマチュア選手権で18年2位、19年5位。昨年11月のプロテストは2位で一発合格。

◆賞金ランク 今大会前は14位。優勝賞金1440万円を加えて3313万4000円となり、7位に浮上。「お母さんがほしがっていた財布を買います」。

◆小柄エピソード 中学時の外食で「お子さま用スプーンが出てきた」。競技では「狭い橋の下から打った時は小さくて得した」。

◆名前の由来 優しく、菜の花のように明るく。

◆「ウエッジ職人」 同世代の選手から呼ばれる。

<西村優菜の優勝クラブ>

▼1W=キャロウェイ・マーベリック サブゼロ(シャフト=フジクラスピーダー569 エボリューション3、硬さSR、ロフト9度、長さ45インチ)▼3、5W=同マーベリックMAX▼7W=同グレートビッグバーサ(21度)▼9W=同グレートビッグバーサ ドライブナイン(24度)▼UT=同APEX▼アイアン=6I~PW 同Xフォージド▼ウエッジ=同ジョーズ(50、58度)▼パター=同オデッセイ O(オー)ワークス▼ボール=同クロムソフトX