男子ゴルフの今平周吾(28=フリー)が、あらゆる日本人アスリートで初めて適用された、海外遠征から自主隔離期間を経ず、試合に出場できる特例「アスリートトラック」の結末を明かした。

国内男子ツアーの年内最終戦、日本シリーズJT杯に向け、開幕を翌日に控えた2日、会場の東京よみうりCC(7023ヤード、パー70)で練習ラウンド後に取材対応。11月22日まで宮崎市で行われたダンロップ・フェニックスに、特例で出場した最終日のラウンド直後に「(午後)12時半ごろから、日付が変わった(午前)3時ごろまで」と、15時間近く、両親と自身が交代で横浜市まで、自家用車を運転して帰宅したと語った。

今平は日本時間11月16日まで米ジョージア州で行われたメジャー、マスターズで、出場2度目で初の予選通過を果たし、44位となった。その後、同17日に帰国。従来であれば新型コロナウイルス感染症対策で、14日間の自主隔離期間に入るが、同12日に、日本オリンピック委員会(JOC)の強化指定選手については、隔離緩和措置を適用できることが発表されたばかりだった。

その特例を用いて出場したダンロップ・フェニックスは、連覇を狙ったが27位だった。プレー中は4人の専属係員が同行し、今平が触れたものは全て、即座に消毒、他人とは徹底して2メートルのソーシャルディスタンスを取り、会話も控えるように言われていた。宿舎も1人きり、往路の移動も空路は使えず、新横浜-博多間を新幹線、博多駅-宮崎市間を手配したハイヤーで移動と、厳戒態勢を取られての出場だった。

この日、語ったのは、最終日のプレー後のことで「ホテルに泊まっていいのかも分からなかったので」と、途中、主に車内で休憩を挟みながら帰宅した。前日1日で、当初の14日間の自主隔離期間も終わり、今大会は晴れて、他の選手と同じ扱い。いくらプロゴルファーといえども、こちらの“ロングドライブ”には「疲れましたね…」と、やや硬い笑顔を見せて振り返っていた。