大会開幕の3日前に、急きょ出場が決まった山内日菜子(24=ライク)が暫定4位に浮上した。

5バーディー、ボギーなしの67で回り、通算8アンダー、136。降雨によるコースコンディション不良で中断後、サスペンデッドで26人がホールアウトできない中、21位で出て好スコアでホールアウト。アマチュアの小倉彩愛の負傷欠場による、繰り上がり出場。史上初めて、主催者推薦枠の繰り上げ出場から優勝を狙う。

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ホールを重ねるごとに、精度が高まるアプローチで山内は次々とバーディーを奪った。4番は3メートル、6番は5メートルと、序盤はパットが好調で2バーディー。中盤以降は、アプローチをピタリと寄せた。8番は残り102ヤードから2メートル、13番は残り77ヤードから1・5メートル、さらに15番は残り100ヤードから1メートル足らずにつけた。「朝から雨が降っていたけど、集中力があった。我慢強いプレーができた」。名前が同じ「ひなこ」の渋野と同様、弾ける笑顔を見せた。

今大会出場が決まったのは、16日の午後だった。主催社推薦で出場予定だった小倉が、左手首痛で欠場することが決まり、繰り上がりで出場が決まったと電話連絡があった。「信じられない気持ちだった。でも、練習で良い感触だったので楽しみにしていた」と、第1日の3日前の連絡にも、状態の良さは感じていた。

その連絡を受けた時は宮崎県内で練習していた。今大会は出場資格がなく、欠場者が出た際の待機選手としてエントリー。父克則さん(55)は「翌週のアクサ・レディース(26日開幕、宮崎・UMKCC)の推薦出場が決まっていたので、そこに集中していた。15日時点では『出場は難しい』と言われていた。急きょ出場となり、17日午前7時から2時間かけて移動した」と明かした。17日に18ホール、18日に9ホール会場で練習し、好成績を残した。

下部ツアーでは1勝しているが「最終日の優勝争いはレギュラーツアーでは初めて。違った緊張感の中でのプレーなので楽しみ」と気負いはない。19年オフからは栄養士とトレーナーをつけ、体重は4キロ減。「糖質がエネルギーになると知り、試合中もおにぎりを食べるようになった」。モグモグタイムも「ひなこ」つながりで健在。「ここで優勝してレギュラーツアーに出られるようにしたい」。主催者推薦枠の繰り上げ出場から優勝。ツアー史上初の快挙を視界にとらえた。【高田文太】

◆山内日菜子(やまうち・ひなこ)1996年(平8)4月22日、宮崎県生まれ。9歳からゴルフを始める。16年7月にプロテスト合格。17年に下部ステップ・アップ・ツアーの「ハナサカ・レディース・ヤンマー・トーナメント」優勝。レギュラー・ツアーは19年アクサ・レディースの18位が最高。162センチ、60キロ。

◆第2ラウンド(R)順延 第2Rは降雨によるコンディション悪化のため、20日午後3時26分に競技が中断され、同45分に順延が決定した。

◆繰り上げ出場V 主催者推薦枠のアマチュア小倉彩愛欠場で出場権を得た山内がツアー優勝すれば、欠員補充の“繰り上げ出場”で史上3人目。過去2人(17年ゴルフ5レディースのO・サタヤ、18年マンシング東海クラシックの香妻琴乃)はQTランクによる現地待機からの出場で、主催者推薦枠では史上初の珍事になる。主催者推薦でツアー初優勝した選手は90年大王製紙エリエールの村井真由美、92年安比高原レディースの肥後かおり、98年カトキチクイーンズの上田珠代がいる。

▽5バーディー、1ボギーの68で回り、31位から11位に浮上した鈴木 数少ないチャンスをものにできたので、この雨の中では最高のプレーだったかな。私、雨は苦手なんで。明日はスコアをもうちょっと伸ばして、最低でも60台で回れるよう頑張りたい。

▽この日ベストの65をマークし、9位から単独首位に浮上。初優勝を狙うサイ 私は結構、最終日に弱いので(笑い)。日本に来て10年たち、いろいろ大変なこともあったけど、初優勝に向けて自分自身にチャレンジしていきたい。