日本ゴルフツアー機構(JGTO)は16日、第2ラウンドを体調不良で棄権していた金庚泰(34=新韓銀行)の新型コロナウイルス陽性が判明したと発表し、会場内の消毒作業などを行うため、17日の第3ラウンドを中止とするとした。18日以降の大会実施は未定。規定では36ホールを消化していれば大会は成立するため、このまま終了となれば、第2ラウンドで首位に立った金谷拓実(22=フリー)の優勝となる。大会期間中に同ウイルス陽性者が判明したのは男子ゴルフ界では初。

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熱戦冷めやらぬゴルフ場に激震が走った。第2ラウンド終了後の午後6時すぎ。神妙な面持ちでメディアルームを訪れたJGTOの小山俊一ツアーディレクターが、第2ラウンドを棄権していた金の新型コロナウイルス陽性が判明したと明かし、選手らの安全を第一に考え、17日の第3ラウンド中止を発表した。

JGTOによると、金は15日の第1ラウンド後に発熱し、16日朝は38・5度。三重県桑名市内の病院で抗原検査を受けたところ陽性反応が出たという。同選手は3月28日に韓国から入国。都内のホテルで2週間隔離後、4月12日のチェックアウト時のPCR検査で陰性を確認し、会場へ移動していた。

保健所からは同選手と行動を共にしていた帯同キャディーと出場選手の朴銀信(30=フリー)が濃厚接触者に認定された。第2ラウンド実施中に認定結果が出たためプレー中の朴は13ホール目まで消化後に棄権に。金と第1ラウンドを回っていた香妻陣一朗と時松隆光は濃厚接触者には認定されていないが、それに準ずる者として第2ラウンド後にPCR検査へ向かった。

国内男子ツアーは今大会が今年初戦だった。大会期間中に選手から同ウイルスの陽性反応者が出るのは初めてで、小山ディレクターも今後の大会の行方については「まだ決まっていない段階」と話すしかなかった。消毒作業は16日夜から行われ、17日午前11時に大会事務局から何かしらの状況報告が行われる予定。関係者によると、19日以降の予備日などはなく、18日に18、または36ホールでの競技継続か、このまま終了するかの3択となることが濃厚。大会が中止となった場合は会場にいた選手、関係者ら全員のPCR検査を一斉実施する可能性も浮上しているという。

規定では、36ホールを消化すれば競技は成立するため、終了となれば第2ラウンドで首位に立った金谷の優勝になる。その場合は規定により賞金ランキングの賞金加算額は本来の金額の半額となる。【松尾幸之介】

◆国内男子ツアーとコロナ 昨年は1月のシンガポール・オープンで開幕したが、その後は中止が相次ぎ、国内開幕戦となった2戦目は9月のフジサンケイ・クラシック。米国に場所を移して行われた、当初は米ツアーと千葉で共催予定のZOZOチャンピオンシップを除くと、全て無観客で6試合しか行われず、計19試合が中止となった。試合数減少の20年は賞金王を決めず、21年とシーズンを統合した。これまで大会直前や期間中に、選手、関係者から陽性反応が出たことはなかった。

○…国内女子ツアーでは3月の21年初戦ダイキン・オーキッドレディース開幕前日にコース設営スタッフ1人のPCR検査陽性が判明したが、本番に影響はなかった。前週の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンは第1日に、テレビ中継スタッフ1人の陽性が判明。競技開始が6時間半遅れたが、3日間で54ホール競技を完了した。また今月初めのプロテスト1次予選終了後に競技者1人の陽性が確認されたが、同予選での感染者はなかった。

◆国内女子ツアーとコロナ 3月の21年初戦ダイキン・オーキッドレディース開幕前日にコース設営スタッフ1人のPCR検査陽性が判明したが、本番に影響はなかった。前週の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンは第1日に、テレビ中継スタッフ1人の陽性が判明。競技開始が6時間半遅れたが、3日間で54ホール競技を完了した。また今月初めのプロテスト1次予選終了後に競技者1人の陽性が確認されたが、同予選での感染者はなかった。