一昨年限りでツアープロを一区切りし、現在は多数の女子プロ、アマチュアを指導する佐伯三貴(36)が、1年半ぶりにツアー出場する。フジサンケイ・レディース開幕を翌日に控えた22日、会場の静岡・川奈ホテルGC富士で練習ラウンド後、会見した。今大会は07、13年と2度優勝。相性の良いコースだけに「1年半ぶりなので、どうなるか自分でも分からない部分はありますけど、川奈が大好きなので、また戻ってこられて、そして教え子と一緒に、同じ舞台で戦えることをすごくうれしく思います」と、開幕を心待ちにしている様子で語った。

当面はこの1試合しかツアー出場の予定はなく、今後については未定だという。今大会の出場を決意したのは3月。その後、体づくりに着手し、約2週間前から打ち込んできた。「準備期間としては足りないですけど、この1試合にかける思いは強いです。まずは予選通過。やるからには上を目指して頑張れたら」と、力を込めた。仙台市の東北福祉大出身とあって「東日本大震災から10年という節目の年に、自分が挑戦することによって、東北の方々にも何か伝えることができればなと思っています」と続けた。

今大会出場を決めた大きな理由は「普段から教え子や東北福祉大の学生を見ている中で、彼女たちに、口だけではなく行動や姿勢を、もう少し見せられたらと思ったので」と、指導している選手を刺激し、成長につながってほしいという強い思いがある。「無謀とは思いますけど、新たなチャレンジをすることで、彼女たちが何かを感じて、そしてまた自分も、この1年半でだいぶ変われたと思うので、前とは全然違うメンタルで今回臨めると思う。技術面ではたぶん(以前の自分より)劣っていると思いますけど、精神面で自分の成長が感じられたら。それをまた彼女たちに伝えたい」と、新境地開拓など指導者としての成長も目指す。

マスターズで日本人男子初のメジャー優勝を果たした、松山英樹からも激励を受けた。東北福祉大の後輩にあたり「本人から電話ももらって『僕も勝ったので、三貴さんも勝ってください』みたいなことを冗談交じりに言われました。あと『楽しんできてください』みたいなことも」と、マスターズ優勝後間もなくや、前日21日も電話で話したという。「1ホール、1ホール、自分が今できることを精いっぱい、失敗しても恥をかいても、最後までやり通せたら」。中途半端な気持ちで臨んではいない。背中で、プレーで、教え子に技術面だけではない、プロゴルファーとして不可欠な、闘争心など内面の重要性も伝えていくつもりだ。