25日に最終日を迎えた国内女子ゴルフツアーのフジサンケイ・レディース(静岡・川奈ホテルGC富士)で、00年度生まれ「ミレニアム世代」の安田祐香(20=NEC)が8位となり、プロ15戦目で初のトップ10入りを果たした。第1ラウンド(R)が69、第2Rが68、最終Rが71。決勝ラウンドに進出して、全Rオーバーパーなしだったのも、14位だった昨年11月のTOTOジャパンクラシックに次いで2度目だった。

8位から出た最終ラウンド後は「いい位置から最終日を迎えることができ、プロ最高位で上がれたことはうれしい」と語った。兵庫・滝川二高2年時の17年に日本アマで優勝し、19年にはアジア太平洋女子アマも制した逸材。高校の後輩にあたる梶谷翼が今年、日本人で初めて優勝したオーガスタ・ナショナル女子アマチュア選手権も、初開催の19年に3位となっている。将来を期待され、プロデビュー前からさまざまなスポンサーがついた。

だがプロ入り後は頸椎(けいつい)捻挫などのケガに悩まされ、棄権や欠場を繰り返した。今大会も左腕痛による2戦連続欠場明けで、3戦ぶりの復帰戦だった。それだけに「ケガから復帰して初めての試合で不安が大きく、コースは難しい印象だった。こういう時にいいプレーができれば自信になると思っていた」と、トップ10入りをかみしめた。

安田がケガと戦っている間に、ミレニアム世代の古江彩佳は今季だけで3勝、アマチュア時代を含めると4勝も挙げ、現在賞金ランキング2位につけている。同世代では西村優菜も1勝した。さらには、高校生のうちにプロテストを受験できるようになった最初の世代で、01年度生まれ「新世紀世代」の笹生優花は2勝、山下美夢有は1勝している。世代の先頭を走っていたはずの安田が、プロ入り同期とはいえ、いつしか1学年下の選手にまで抜かれてしまった。

それだけに、最終日は「ケガをしないよう自身の体と向き合って、常に上位で争えるようにしたい」と、しみじみと語っていた。ただでさえ公表されている163センチ、53キロは線が細い印象だが、実際にはもっと体重が少ないようにも見える。ケガでトレーニングを満足にできない時期もあったかもしれないが、体調面の話題が上ると、常に「やせていません!」と即答。ケガのことを絶対に言い訳にしない。アイドル顔負けのルックスとは、良い意味でギャップのある体育会系。性格も、目指すゴルファー像も「超」がつく本格派だ。

だからこそ、オーバーパーではなかったが、伸ばすこともできなかった最終Rの成績には、課題も感じている。「ティーショットが安定していたが、セカンドショットは3日間の中で1番良くなかった」。右肩上がりの成績を残せないことに、誰よりも本人が歯がゆさを感じている。一方で、高難度の静岡・川奈ホテルGC富士を攻略し「落ち着いてプレーできました」と、手応えを感じたのも確か。遅ればせながら「次世代スター」と期待されて久しい安田が、トッププロへの第1歩を踏み出した。【高田文太】