優勝した4月のマスターズに続く今年2戦目のメジャーで、松山英樹(29=LEXUS)は41位から巻き返しを図ることになった。3バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの73で、1オーバーとした。67で回った首位コーリー・コナーズ(カナダ)とは6打差ながら、4打差の2位以下は大混戦。逆転圏内につけ、マスターズ前の闘争心も戻ってきた。金谷拓実は75で77位、星野陸也は76で97位となった。

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メジャー王者の看板が松山に冷静さをもたらした。後半の3番パー4で痛恨のダブルボギー。砲台グリーンに乗せられず、4オン、2パットとたたいた。難度の高いセッティングに不規則な風。さらにメジャー史上最長7876ヤードのコースで、気力も体力も奪われかねない状況で踏みとどまった。その後の6ホールはボギーなしで1つ伸ばした。7番パー5は第3打をバンカーから1メートルに寄せる、芸術的な一打でバーディーを奪い、上昇気配が漂った。

ホールアウト後は笑顔で取材に応じた。「今までは(メジャーで)勝ったことがなかったので気持ちが入りすぎていた。今日は落ち着いてできた」。良い意味で肩の力が抜けていたと分析。前回大会優勝のモリカワ、昨年全米オープン優勝のデシャンボー(ともに米国)との注目組で回った。1日1万人が上限の観衆を大勢引き連れたが「(パットは)一緒に回った2人の方が合っていた。『何でこんなに、こいつら合うんだろうな』と思いながらやっていた」と冗談交じり笑いつつ、2人のメジャー王者をたたえる余裕も見せた。

6打差の首位コナーズはツアー1勝で、メジャーは未勝利だ。2位とは4打差と混戦で、41位の順位ほど首位の背中は遠くない。松山も「離されることなく終われた。明日(第2ラウンド)しっかり伸ばして、少しでも差を縮めたい」と巻き返しを誓った。何よりも「マスターズの前のような気持ち。もう少しゴルフを良くしたいという風になってきた」と闘争心に火が付いた。過去は出場8度全て予選通過と相性の良い今大会。本領発揮の瞬間を、誰よりも松山が待っている。