東京五輪出場には優勝した上で、ライバルの動向次第という古江彩佳(21=富士通)が首位に2打差の4位と好発進した。7バーディー、2ボギーの67で回り、5アンダー。世界ランキングで日本人2番手、五輪代表争いで優位に立つ稲見萌寧は1オーバーの76位と出遅れ、6打差がついた。菊地絵理香が7アンダーで単独首位。

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気持ちを切りかえて、古江が好スタートを切った。開始10番パー4で、ラフからボールの転がりを利用して絶妙なアプローチでバーディー発進。続く11番パー4も連続バーディーで波に乗った。後半は5つのバーディーで6アンダーと首位と1打差まで迫った。9番パー3でボギーも、五輪出場争いの最後の戦いで納得の内容だった。

「先週までは五輪のことが頭の片隅に残ったまま試合に臨んでいた。今日は五輪のことを頭に入れずに、その試合だけに集中できた」。五輪代表決定まで残り1戦。代表権を得るには優勝しかないと、やることがはっきりしてプレーに集中できた。

古江の強さは周囲の状況に動じないメンタルにある。19年の富士通レディースで初優勝した時も、プロテスト前の最後の試合だった。この優勝でプロテストを受ける前にプロ転向を決めた。「やることがはっきりしていたら力が発揮できる」。ここ一番の集中力を、大事な大会のスタートで発揮した。

五輪争いで優位に立つ稲見は1オーバーと出遅れ、6打差がついた。それでも古江のやることは1つ。優勝だけだ。「明日以降も自分のプレーに集中して頑張ります」。飾らない言葉に強い意志が隠れている。

【桝田朗】