奥松良太(25=JOYX上月)が、競技ゴルフで初優勝を飾った。この日のスタート前の練習でドライバーを破損するハプニングに見舞われたが、4バーディー、4ボギーと我慢のゴルフで72のパープレー。通算3アンダー、141で、第1日からの首位を守って逃げ切った。1打差2位に三上陽二郎(27=滝野)3位に田中愛士(19=大院大)。40位タイまでが全日本大会(10月28~29日、石川・片山津GC白山C)の出場権を獲得した。

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奥松が1メートル弱のパーパットを沈めた。同組の三上とマッチレースを展開し、1打リードで迎えた18番パー4。決めれば優勝とわかっていた。「かなりしびれました」。楽しかった。こんな気持ちを味わいたくて、ゴルフをやっている。

スタート前に大変な事が起こった。早朝、開催コース近くの練習場で球を打ったら、ドライバーが変だ。クラウン(ヘッドの上部)にゴミがついていると思ったら、割れていた。「昨日から音が変だなとは思ってたけど…」。ドライバーの破損は初体験。しかも2年間、何度も替えようと試みて替えられなかった絶対的エース。スペアはない。規定より1本少ないクラブ13本でコースに出た。パー3以外の第1打は、3番ウッドを握った。

前半アウトは「めっちゃ気分がブルーで」集中しきれず、1バーディー、3ボギーの38。首位スタートの3打差の貯金をなくし、三上らに並ばれた。ボギーをたたき、三上がバーディーだった15番で2位陥落。バーディーを奪い、三上がボギーとした17番で首位浮上。最終的に4バーディー、4ボギーの72にまとめ、マッチレースに競り勝った。

専門学校で取得した放射線技師の資格で入った病院を、2年で辞めた。「ゴルフがおもしろくて。ツアー競技に出てみたくて」。フリーター暮らし。父英樹さん経営の「夢前水上ゴルフセンター」で腕を磨く。開催コース・小野東洋GCでも1年半前から週末にキャディーの仕事をこなしてきた。「今日の結果は本当に、周りのみなさんのおかげ。恩返しにもなります」。アマチュア競技での初優勝も、うれしい。自信になる。夢のツアー競技出場へ、確かな1歩を踏み出した奥松は「とりあえず、新しいドライバーを探します」と笑った。【加藤裕一】

◆奥松良太(おくまつ・りょうた)1995年(平7)12月2日、兵庫県太子町生まれ。中学はバスケットボール部だったが、太子高では無所属。本格的なゴルフは19歳から。得意クラブはドライバーで飛距離は約290ヤード。憧れの選手はローリー・マキロイ。ハンディ1。181センチ、72キロ。

<主催>日刊スポーツ<後援>日本ゴルフ協会、関西ゴルフ連盟<協賛>住友ゴム工業<協力>小野東洋ゴルフ倶楽部