小祝さくら(23=ニトリ)が通算5勝目を挙げた。最終の第2ラウンドは悪天候で9ホールに短縮。3打差首位で出た小祝は2バーディー、ノーボギーで回り、27ホールで通算10アンダーの98で逃げ切った。実力者そろいの「黄金世代」で畑岡奈紗の6勝に続く5勝目。今季4勝目で初の賞金女王に弾みをつけた。東京五輪銀メダルの稲見萌寧は3アンダーで19位だった。

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小祝が短期決戦でスキのない戦いを見せた。最終ラウンドの9ホール中、フェアウエーキープは1度もなく、ショットは左右のラフに打ち込んだ。それでも序盤の3ホールでパーを拾うと、13番パー5で125ヤードの第3打をピン横30センチにつけてバーディー。14番パー4でも125ヤードの第2打を3メートル弱に付けて連続バーディーで優勝を決めた。

今年は開幕戦から3月の3試合で2勝。その2勝目のTポイント×ENEOSから5カ月ぶりの優勝に「日数を考えると長くないが自分の中では長く感じた。ここ最近は調子も良くなかったので、前半戦どうして2勝したのだろうと、自信もなくなっていた」と明かした。

転機となったのは東京五輪期間の1週間の休みだった。プロになって1試合も欠かさず試合に出続けている小祝は、地元北海道に帰って練習に励んだ。「しっかりショット、パットの調子を見て重点的に練習できた。そのおかげで1週間の練習って大きいんだなと思えた」と話す。テレビで見た稲見の銀メダルには「自分もこのままではダメだ」と刺激を受けた。

黄金世代で国内ツアー5勝は畑岡の6勝に続き、勝と並んだ。同世代はここまで9人が優勝したが、小祝の初優勝は19年7月のサマンサタバサ・レディースで8番目に遅かった。そこから2年間で5勝。「みんなすごくうまくて自分なんかプロになれるのかなと思っていた。アマ時代はそんなに上手じゃなくても、ここまで来れば自分の自信になる」と胸を張った。

試合に出続けることでつかんだ自信。しかし、今年はプロになって初めて10月の1大会を欠場する。辻村明志コーチの助言を渋々受け入れたが、今回の優勝で休むことの大切さも学んだ。昨年と統合された今季は残り約3カ月。黄金世代初の賞金女王に向けて突き進む。【桝田朗】

小祝さくらの優勝クラブ ▼1W=ダンロップ スリクソンZX5(シャフト=グラファイトデザイン ツアーAD PT5、ロフト角9・5度、硬さS、長さ45インチ)▼FW=同スリクソンZX(3W15度)▼ユーティリティー=同スリクソンZH85(3U19度、4U22度)▼アイアン=5I~9I、PW=同スリクソンZ585▼ウエッジ=クリーブランドRTX3(47、51、58度)▼パター=ワールド山内 ワールドイーグル プロトタイプ ツアー オンリー▼ボール=ダンロップ スリクソンZスターXV

◆女子ゴルフの注目世代 98年度生まれの「黄金世代」には畑岡奈紗、小祝さくら、勝みなみ、渋野日向子、原英莉花ら。00年度生まれの「ミレニアム(プラチナ)世代」には古江彩佳、西村優菜、安田祐香ら。01年度生まれの「新世紀世代」には笹生優花、西郷真央、山下美夢有ら。東京五輪銀メダルの稲見萌寧は99年度生まれ。

▽最終日に4バーディーの3位勝 パターがロング(13番パー5)で入ってから結構パンパンとバーディーが来たので自信を持って打てるようになった。パターも入ってショットもうまくいったら優勝できると思うので、そのときを待って頑張っていきたい。

▽ルーキー・オブ・ザ・NEC軽井沢72賞獲得の10位西郷 今回はいろいろ大変だったので、試合中は賞のことを忘れていたんですが、すごく光栄です。トップ10に入れたので、今後につながると思います。