賞金ランキング5位の稲森佑貴(27=国際スポーツ振興協会)が、大逆転賞金王へ2位と好発進した。5バーディー、1ボギーの66で4アンダー。首位の香妻陣一朗に1打差の好位置につけた。

賞金ランキング5位までに、賞金王の可能性がある今季最終戦。賞金を受け取らないアマチュアの中島啓太(日体大)を除き、単独最上位(原則優勝。中島が優勝の場合は単独2位)で賞金4000万円を獲得し、賞金ランキング1位のチャン・キム(米国)が単独11位以下(中島の方がキムよりも上位だった場合は単独12位以下)で逆転する。キムはこの日、4オーバーで最下位の27位と出遅れた。

記録の残る85年以降、最終戦での逆転賞金王誕生は2例しかない。00年の片山晋呉と17年の宮里優作で、ともに賞金2位から逆転。稲森が5位から逆転すれば過去最大、大幅な記録更新での逆転となる。

この日は「パーパットが入りまくって、それに救われた」と、難関の最終18番パー3で、4メートルのパーパットを決めて締めた。11番パー4では、8メートルのパーパットも決めた。「11番の長いパーパットが入ってのをきっかけに、渋いパーパットがほとんで入った。有効期限が今日だけじゃないのを祈っています」と、冗談めかしつつ、好調なグリーン上に思わず笑顔を見せた。

今大会開幕時点で、賞金ランキング5位までに賞金王の可能性が残っている。そんな中で、同組で回った賞金4位の星野陸也は、最終18番のダブルボギーが響き、2アンダーで7位。最終組で回った同2、3位の木下稜介と金谷拓実は、1オーバーで21位、1位のキムは4オーバーで最下位の27位と出遅れた。追い風が吹いてきた格好だが、優勝や賞金王には「最終日にくるんじゃないですかね。まだ初日が終わったところ。今日みたいに、ずっとパーでいいという気分で回れれば」と、気負いはない。18、20年日本オープン優勝の実力者。コースの難度が上がるほど存在感を発揮する稲森が、ツアー屈指の難度といわれる今大会で、大逆転賞金王を射程にとらえた。【高田文太】