ゼネラルルール(世界共通の規則)を決めるゴルフの総本山R&Aと全米ゴルフ協会(USGA)が、各ツアーに22年からローカルルールでの使用禁止を認めた「グリーン・リーディング・ブック」(GRB)について、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は今季、従来通りの使用を認めた。

ヤーデージブック(YB)以上のグリーン情報を詰め込んだもの。男女両ツアー通算35勝をサポートした森本真祐キャディー(48)は個人的見解として、GRBの有用性自体に疑問を呈した。【構成・加藤裕一】

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R&AとUSGAがGRBの“使用禁止”に動いたのは、プレーヤーの技術、感性をよりゲームに反映させるため、またプレーファーストの観点から取られた措置だ。どんなものかは、写真を見てもらえると一目瞭然。左がGRBで、グリーンの傾斜など情報がYBより詳細に数値、カラーリングなどで示されている。

-GRBにはグリーン面を4通りも使い、情報を掲載している。

森本氏 ねえ。すごいですよね。僕は最近老眼入ってきたから、調子悪い時は見えません(笑い)。

-ちなみに値段は?

森本氏 両方ともだいたいゴルフ場で販売されていて、YBは3000円ほどですが、GRBは1万円ほど。

-高額だ

森本氏 それだけの価値があるかの判断は人それぞれです。実際、使っている人はいますが、僕は買いません。YBだけで十分です。

-個人的には不要?

森本氏 僕は出始めたころに使ったことがありますが「グリーンの読みに全然使えない」というのが結論でした。意味がない。結局は練習ラウンドなどで自分の目で見て、ボールを転がして確認すること、その事前準備の方が大事、有益と思いました。

-なぜ使えないと?

森本氏 GRBの場合、この4つのデータがあったら、全部見てしまうんですよね。これでスライス? じゃあこれは? これは? そんな繰り返し。そりゃプレーも遅くなります。

-プロは持ってるのか?

森本氏 YBは持っていても、GRBはあまり持ちませんね。

-それにしても情報量が半端じゃない

森本氏 米国はもっとすごいと聞きます。コースによっては3タイプぐらいあって。「いいやつ」「まあまあのやつ」「ヤーデージブックよりはすごいけど、ベーシックなやつ」。そんなん見てもわかりませんよ。

-膨大な情報を処理しきれない?

森本氏 情報があっても、実際に自分に落とし込めるのか? 計算間違いもあるでしょう。ゴルフは自然が相手です。午前、午後、風、晴れ、雨など条件は多種多様で、数値通りにボールが切れない、転がらないことがあるだろうし…。

-必要になるとしたら?

森本氏 プロがライン読みに迷った時、キャディーが持っていたら「どうなってます?」と確認するとかですかね。ただ、日本で本格的に活用してる人はそんなにいないでしょう。

-あまり有用性ではない?

森本氏 使うと完全にデジタル、マニュアル化一本の仕事になる気もする。やはり自分の目で見て、と思う。そもそも、いきなりコースを回るわけじゃない。練習ラウンドで下準備をしてる。むしろGRBを規制することで、プロの準備の優劣がゲームに反映されることになり、いいんじゃないかと思いますね。