畑岡奈紗(23=アビームコンサルティング)が、2位に5打差の独走で米ツアー6勝目、日米通算11勝目を飾った。4打差の首位から出て1イーグル、4バーディー、2ボギーの67と4つ伸ばして回り、通算15アンダー、269。98年度生まれ「黄金世代」の中でも、先頭を走り続ける日本のエースが、今季の米ツアーで、日本勢最初の優勝をつかんだ。他の日本勢は、笹生優花が3アンダーで17位、古江彩佳が2オーバーで43位、渋野日向子が6オーバーで63位となった。

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勝利を確信した瞬間だった。15番パー5。10メートルのイーグルパットを決めた畑岡は、振り下ろした右手を何度も握り締めた。口を真一文字に結び、何度もうなずいた。同組で回っていた2位ハナ・グリーン(オーストラリア)とは6打差。その差を保ったまま、迎えた最終18番パー3こそボギー締めとなったが、5打差の圧勝。待っていた古江彩佳や母博美さん、スタッフらにウオーターシャワーで祝福され、笑みがはじけた。

息つく間もなく英語でインタビューされると、通訳を介さず英語で即答した。「自分のゲームにフォーカスしていたし、いいゲームができたと思う。パットが今週は本当によかった。それが勝因だと思う」と、明るい表情のまま、流ちょうに話した。米ツアー参戦6年目。今季から同じ黄金世代の渋野日向子、2歳下の古江、昨季途中からは3歳下の笹生優花が参戦しているが「日本のエース」は畑岡。そう示すような今季の日本女子最初の米ツアー優勝と、堂々の受け答えだ。

後続に影も踏ませなかった。1番パー4で10メートルのパットを沈めてバーディー発進。5番パー4で7メートルを決めてバーディー、6番パー4では6メートルのボギーパットを沈めてダブルボギーを回避。長いパットを決めるたびに、ガッツポーズで自らを鼓舞し、乗っていった。

前週は114位と、ハワイの強風に苦しめられたアイアンショットもさえた。ともにパー3の第1打を4番は2メートル弱、7番は1メートルにつけてバーディー。前週の反省から「しっかりと胸を回して打つことを意識した。特に風が強くなってくると、強いボールを打ちたがって、手で打ってしまう癖があるので気を付けた」という。今大会も上位陣が回る午後は強風に見舞われたが、決勝ラウンド2日間で8つも伸ばした。「先週の予選落ちから1週間でこんなに変わるんだなと。自分を信じてやってきて良かったと思う」。今季は1度もトップ10入りがなかったが、オフからのスイング改造を貫き一気に花開いた。

今季のメジャー2戦目、全米女子オープン(6月2日開幕、米ノースカロライナ州)が、1カ月余り先に迫り「このタイミングで優勝できたのは大きい」と語る。昨年はプレーオフで笹生に敗れて2位。悲願のメジャー初優勝への思いも高まった。国内ツアーでは植竹希望、高橋彩華と、黄金世代の新鋭が2週連続優勝中。それでもやはり“エースは奈紗”。貫禄を示すには十分過ぎる快勝だった。

 

◆畑岡奈紗(はたおか・なさ)1999年(平11)1月13日、茨城県笠間市生まれ。母親の影響で11歳でゴルフを始める。17歳だった16年10月の日本女子オープンで、史上最年少優勝を果たしプロ転向。日本女子オープンは17年に連覇するなど3勝。17年から米ツアーを主戦場とし、18年6月に初優勝。昨年は全米女子オープンでプレーオフの末に2位で、東京五輪9位。米ツアーはこれで6勝目、日本ツアー5勝(うち国内メジャー4勝)。茨城・ルネサンス高出。158センチ。