日大ゴルフ部寮で同部屋だった桂川有人、清水大成、木村太一(いずれも23)が、全英オープン(7月14日開幕、英国・セントアンドルーズ)同時出場を願って最終日に挑む。桂川はすでに出場権を保持しているが、全英切符獲得圏内の「上位4人」まで7位清水は最低2打差、26位木村は同5打差を詰めるべく、チャージをかける。

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世界最古のメジャー全英オープン、しかも舞台はゴルフ発祥の地セントアンドルーズ・オールドコース。そこに学生時代を同部屋で過ごした3人一緒に出られたら-。

清水がチャージした。強いフォローの6番パー5で残り230ヤードを5番アイアンでピン奥1・5メートルにつけて、イーグルを奪取。最終18番パー5は力んだドライバーショットが強風に流され池に落としてボギー。それでも70とスコアを2つ伸ばし、通算6アンダー。22位から7位に浮上した。

「最後は2オンさせたい意識が強すぎて…。冷静さを欠きました」。

木村も必死だった。片山、石川と同組でシビれながらも前半に1つ伸ばしたが、後半は12番から4連続ボギーをたたくなど75。通算3アンダーで7位から26位に後退した。

「ボギー、止まんなかったです」。

1月SMBCシンガポール2位で出場権を手にした桂川に続きたい思いが、2人には力にも重圧にもなった。

静岡県三島市内にある日大ゴルフ部寮の一室で、3人は2年間を過ごした。「めちゃ狭かったです」と木村が笑う。同学年に約30人いた部員は基本2人部屋だが、桂川、清水、木村だけは団体戦レギュラーで遠征も多く、寮にいる時間が少ないとの理由で、3年から3人部屋になった。

フリースペースは、2段ベッドと簡易ベッドが約80センチで向き合ったはざまだけ。使うベッドはジャンケンで決めた。簡易ベッド下のソファと2段ベッドの下に座り、膝をつき合わせて夢を語った。清水が1年で日本学生に勝ち、木村が3年で日本アマをとり、桂川が追いかける。「将来一緒に世界で戦う」との思いは、自然と共通認識になった。

42位の桂川は2人の結果を気にしている。「3人一緒にってのは、あります。そんなのなかなかないですから」-。清水は「3人そろってなんて、サイコーですね」と言い、木村は「それ、昨日の夜に考えてたんです」と目を輝かせた。

今大会上位4人の全英切符獲得条件は、第3R終了時点なら「2位タイの通算8アンダー」がボーダーラインだ。清水は2打差。木村は5打差という厳しい状況だが「狙ってビッグスコアを出せる力、僕にはまだない。自分のベストのプレーをして、そこに運を期待したいです」-。

千載一遇の機会を願い、戦う3人の最終日がやってくる。

◆今大会の全英オープン出場権 有資格者を除く上位4人まで。今大会出場の有資格者は今平、桂川の2人だけで今平は予選落ち、桂川は42位で“ほぼ圏外”のため、事実上「単独4位以上」となる。4位タイが出た場合は世界ランク上位者が優先される。