勝みなみ(24=明治安田生命)が、ツアー史上初の「4日間大会ノーボギー優勝」を達成した。2位と9打差の大量リードで迎えた最終日、バーディーは1個だったが、終盤17番で4メートルをねじ込むなど4度のナイス・パーで71。通算22アンダー、266で今季初、通算7勝目を飾った。8月4日から、6度目のメジャー・AIG全英女子オープンに参戦。世界に自分の力をぶつける。稲見萌寧が5打差2位だった。

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目を見開き、口を開けて勝が笑った。4日間、72ホール中71ホール目の17番で4メートルのパーパットが残った。下りのスライスラインで打った瞬間、思った以上に切れた。「あ、やばい!」。すると思った以上に球が伸び、カップに消えた。「えっ?」。想定外の事態が2つ重なり、最高の結果になるなんて…。だから「笑ってしまった」と笑った。

2番は2メートルを入れ、3パットを逃れた。7番で3メートル、12番で4メートルのパーパットが残ったが決めた。

「1試合、ノーボギーなんて本当に難しい。4日間、続いたなんてラッキー」。自身初とは知っていたが、ツアー初とは知らず「本当ですか~? うれしい。知ってたら(ボギーを)打ってたかも」と驚いた。

21アンダーまで伸ばした3日間がうそのように、バーディーは1個だけ。通算24アンダーのツアー最多アンダーパー記録に届かず「正直、いいゴルフではなかった」と残念がったが、4日間ノーボギーを支えたのは「ショット」だ。

「ボギーを打っても、バーディーを取れると思っていた。その自信があった。ミスの理由は2つぐらいしかないし、それがわかっているから」。スイング軌道がアウトサイド・インになると左と右へのミスになる。この日はショットが左右にブレたが、大ミスにしない自信はあった。今季のドライバー平均飛距離4位(252.54ヤード)の飛ばし屋は、パーオン率が20位(68.66%)だが、今大会は1位(79.17%)。14年KKT杯バンテリンで「15歳293日」の最年少優勝を飾った頃の“原点”にスイングを戻した6月以降、自信は深まる一方だ。

優勝から一夜明けた1日午前、AIG全英女子オープン出場のため日本をたつ。20年出場時、キャディーバッグがロスト、開幕前日にコースに届くドタバタ劇が起こったロンドンのヒースロー空港を避け、フランス経由で向かう。「イギリスは寒いイメージしかないから、上着、長ズボン、カッパを忘れないようにして…。あ、カイロも持ってこうかな」。子どもっぽく準備事項を話したが、もちろん遠足気分ではない。

「20年は予選落ちだったから、4日間プレーしたい。いろんな選手のプレー、練習を見て、自分とどう違うのか知りたい」。今秋の米ツアー最終Qシリーズの資格「8月8日時点の世界ランク75位」は今回の優勝で72位から浮上確実だから、もう問題ない。今の自分がどれほどなのか-。昨年の全米女子オープン以来6度目のメジャーで、今あるすべてをぶつける。

◆国内男子は17年の宮里優作だけ 国内男子ツアーでのノーボギー優勝は、17年「ツアーワールド・カップ」の宮里優作のみ。4日間72ホールをボギーなしで回り、遂げた。資料が残る85年以降では初めてで、以降は例がない。

◆72ホールボギーなし優勝 米ツアー公式サイトによると、リー・トレビノ(米国)が74年ニューオーリンズ・クラシックで達成。欧州ツアーでは95年スカンディナビア・オープンのイエスパー・パーネビク(スウェーデン)、米女子ツアーで15年HSBC女子チャンピオンズの朴仁妃(韓国)、欧州女子ツアーで11年ユニクレジット女子ドイツ・オープンのディアナ・ルナ(イタリア)といった例もある。

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